ビルの外壁塗装工事!その必要性とタイミングを解説
ビル建築はテクノロジーの結晶とも言える構造物で、実に様々なテクノロジーが応用されています。
代表的なものが耐震性で、計算で確認されるだけでなく、実証実験なども行われています。
さて、ビルの受ける外的ダメージは地震や台風ばかりではありません。日射や雨水なども化学的な面で脅威となり得るのです。
そして、そのような化学的な脅威に耐える部分が「外壁塗装」です。
ところで、外壁塗装は定期的に塗りなおさなければいけないのですが、意外となおざりにされがちです。しかし、それではいけません。
そこで、ここではビルの外壁塗装工事を取り上げ、その必要性や工事のタイミングについて解説します。
目次
ビルの外壁の種類
一般的にビルは鉄筋コンクリートで作られる…というイメージがあります。
しかし、外装までコンクリートであるとは限らず、状況に合わせて使い分けられています。
ここではビルの外壁の種類について取り上げます。
ALC
ALCとは軽量気泡コンクリートとも呼ばれます。コンクリートの中に気泡を含んでいるイメージの素材です。
特徴は重量で、気泡を含んでいるため非常に軽量で、1/4程度の重さとも言われます。
また、コンクリート素材のため燃えませんし、中に気泡があるため遮音性や断熱性が高いなど、優れた特性を持ちます。
尚、ALCを使った建物は建物の全体重量が軽くなり、地震に対して有利です。
ただし、外壁材としてはコストが高めな点が難点で、耐候性で劣る点がデメリットです。
金属サイディング
金属サイディングはガルバリウム鋼板など、耐食性を高めた金属板から作る外壁材です。
メリットとしては、コストパフォーマンスが高い、軽量、工期が短くて済む、などがあります。
金属サイディングも軽量のため、外壁に使用する建物は全体重量が抑えられます。そのため、地震に対して有利です。
ただし、金属サイディングはキズが付きやすいと言ったデメリットがあります。
尚、金属サイディングに使っている金属板は腐食させないため表面を処理していますが、腐食はゼロにはなりません。条件が悪いと表面が錆びるケースもあります。
モルタル壁
モルタルはセメントと砂を混ぜて水で練った素材です。建築物の表面用の素材としてよく使われました。
燃えない点が特徴で、強度にも優れています。
しかし、ひび割れや色褪せが起こりやすいため、比較的短期間の内にメンテナンスをする必要があります。
尚、モルタル外壁は昔のビルでは主流だったのですが、今ではほとんど採用されません。
コンクリート壁
コンクリートの打ちっぱなしの壁です。
この壁は非常にスタイリッシュにビルを飾れるため、一時期に非常に流行しました。
特徴としては、何と言ってもオシャレな点で、都会的なセンスのビルが建てられます。そのため、賃貸用に利用するならば、高めの入居率と家賃が狙えます。
ただし、屋外の気温の影響を受けやすいため、エアコンの使用量が増え、光熱費が上がりがちになる点がデメリットです。また、コンクリートは結露やカビが発生しやすい欠点があります。
タイル壁
タイルは土を焼き固めた素材で、耐久性や耐候性などに非常に高い性能を発揮します。特に、耐候性は秀でていて、他の外壁と違って塗装工事は必要ありません。
また、耐火性に優れ、経年劣化も起こりにくいメリットがあります。
ただし、大きな地震などの場合は剥がれ落ちる可能性があり、特に高い位置からのタイル落下は危険です。
なぜ外壁塗装工事が必要か
次に、なぜビルには外壁塗装工事が必要かについて解説します。
美観の維持
最初に挙げられる点が「美観の維持」です。
ビルの外壁は非常に過酷な環境に晒されます。夏場の日射や風雨、さらには粉塵などのダメージを受けるのです。
当然ながら、ビルの表面は色が褪せたりヒビが入ったりします。見た目も悪くなるのです。
その点、外壁塗装工事を行うならばビルの美観はよみがえります。色褪せていた壁面が色調と光沢を取り戻し、美しくよみがえるのです。
尚、外壁塗装工事では「色を変更」することも可能です。「白から黒」のように、全く異なるイメージにリニューアルできます。ビルの使用用途が変わった時などには色を変えると良いかも知れません。
耐久性の維持
外壁塗装工事はビルの耐久性にも関係します。
外壁塗装を棚上げにして長期間放置をすると、塗膜の性能が失われて雨水が浸入する場合があるからです。
また、ビル外壁には雨仕舞のためにシーリング処理をしている部分が少なくありません。このシーリング部分が老朽化すると割れなどが障子、これも雨水侵入の原因となります。
ところで、この侵入した雨水はビル内部の鉄筋に届くと、鉄筋を腐食させる原因となります。鉄筋が腐食するとビルそのものの耐久性も落ちてしまうため危険です。
更には、この状況を放置するならば室内への雨漏りの原因にもなります。決して放置してはいけないのです。
資産価値のキープ
外壁塗装工事を適切に行わなければ美観は悪くなりますし、ビルの内部もダメージを受けます。場合によっては居室内への雨漏りもあるかも知れません。
当然ながら、このようなビルは資産価値がありません。仮に、法定耐用年数では問題ないと判断されても実売価格は落ちてしまうでしょう。
しかし、外壁塗装工事を適切に行えば、ビルの美観は保たれますし、内部もダメージを受けません。そして、雨漏りの発生も無くなります。資産価値もキープできるのです。
尚、資産価値がキープされるならば、仮にビルを売却しようとした時には有利に働きます。売りやすくなるのです。
賃料を下げないため
オフィスビルや賃貸マンションの場合、ビルの外観が家賃の額に結び付くケースが少なくありません。
ビルがきれいで立派ならば、それだけ高額の家賃が狙えるのです。
さて、ビルの外壁塗装をせずに放置するならば、確実に美観は失われます。そして、その状態では高いレベルの家賃は期待できません。
しかし、ビルの外壁を適切に塗装するならば美観はキープが可能です。家賃の維持ができるのです。
尚、家賃は一旦下げると元の水準に戻すことは、法律も大きく関係するため非常に困難です。ビルの状態のキープが非常に重要なのです。
空室リスク回避
賃貸オフィスやマンションの場合、空室の発生は命取りにもなりかねません。空室になると家賃収入が無くなるだけでなく、固定資産税は引き続き発生するため赤字になるからです。
しかも、一旦空室になると時期によっては次の入居者が入りにくい場合もあるのです。…次の入居者が見つかるまで家賃がゼロにもなります。ビルの経営は危機的になるでしょう。
ビルの外壁塗装工事のタイミング
このように、ビルの外壁塗装工事をせずに放置すると、単にビルが汚くなるだけでなく、経営そのものが危険になります。
そのため、外壁塗装工事が適切なタイミングで行わなくては行けません。
そこで、ここではビルの外壁塗装工事のタイミングを取り上げて解説します。
チョーキング
チョーキングとは外壁の表面に白い粉が吹く現象です。
塗装の表面部分が劣化して破壊されてしまい、白い粉になるイメージです。塗膜部分の破壊が進んでしまうため、早急の塗装が望まれます。
尚、塗装の劣化は建物の向きによって異なる場合があります。例えば、日当たりの良い南側であれば劣化が進みやすい一方で、日陰になる場所ではそこまで劣化は進まない…といったケースがあるのです。
剥がれ
経年劣化と共に塗膜が剥がれる場合があります。
これも危険な状態です。
塗膜が剥がれるならば、その剥がれた部分から雨水が入る可能性があります。内部に水が入り込むと建物にもダメージを与えます。早急な塗装が必要です。
尚、塗膜の剥がれは施工不良によっても起こり得る現象です。その現象が施工不良と断定出来た場合には、施工業者による保証で塗りなおしてもらえます。
割れ
塗装部分が劣化すると割れる場合があります。
塗装が割れた場合にも水が入り込むリスクが発生します。建物まで危険になるため早急な対処が必要です。
ところで、塗膜の割れは経年劣化以外の原因もあります。代表的な原因が「施工不良」「電車や車から来る振動」「地震」などです。
この内、施工不良は業者選定のミスの結果と言えます。業者選定は施工不良に結び付くことを忘れるべきではないでしょう。
膨れ
劣化が進むと塗膜が膨れる場合があります。
これは、劣化によって塗膜が破壊されて内部に水が入り込み、その水が蒸発する際に塗膜が剥がれて膨れる現象です。
そのため、膨れが見たかった場合には水が入り込んだ事態を疑うべきでしょう。無論、早い内の塗装工事が必要です。
尚、膨れは施工不良が原因である場合、原因が施工不良と断定されれば、業者に再塗装をさせられます。
色褪せ
劣化が進むと色褪せも発生します。
これは、日射などによる塗料に含まれる顔料の破壊によって起こる現象です。日射条件の他、色によっても褪せ方が変わる場合があります。
尚、色褪せは色調の変化のため塗膜性能としては問題が無い…とも思えるかも知れません。
しかし、塗装の顔料を破壊するだけの環境条件であれば、他の塗膜性能も落ちていると考えられます。塗り替え時期と判断するべきでしょう。
業者選定のポイント
外壁塗装工事は業者が非常に多いため、選定も大変です。
しかも、業者によっては悪質な手抜き工事をする場合もあるため、絶対に油断はできません。
そこで、ここでは業者選定のポイントを取り上げます。
大規模修繕工事瑕疵保険への加入の有無を確認する
大規模修繕工事瑕疵保険への加入を最初に確認すべきです。
この保険は施工業者が瑕疵担保責任を履行する上でのバックアップとなる保険で、施工業者が加入します。
さて、外壁塗装に不備があり、塗膜の膨れなどが発生した場合には塗りなおしてもらわなければいけません。
ところが、仮にその施工業者が倒産した場合には、塗装の代金をビル側が負担することになります。
しかし、大規模修繕工事瑕疵保険に入っていれば、仮に業者が倒産しても補償が下ります。ビル側に損失は発生しないのです。
ですから、業者を選定するにあたっては大規模修繕工事瑕疵保険への加入の有無を確認しましょう。
相見積もりを取る
業者選定にあたっては複数の業者から相見積もりを取りましょう。
相見積もりを取れば、最安の業者が分かると共に、その工事の適正価格が分かります。選定は適正価格から少し安い業者が無難と思われます。
尚、あまりにも安い業者には注意をしなければいけません。業者にもよりますが、手抜き工事をする場合があるからです。
例えば、外壁塗装は3回塗りが基本ですが、業者によっては2回で済ますところがあります。当然ながら、耐用年数などが落ちるのですが、塗装は一旦乾燥してしまうと外観からは判別ができません。
施工実績を確認する
業者にもよりますが、過去の施工実績を公開しているところがあります。
その中で、所有するビルと同様の現場があったかどうかを確認しましょう。
施工実績を見れば技術力が分かるだけではなく、どれくらいの経験を積んだかが分かるからです。
外壁診断の内容・方法を確認する
ビルの外壁塗装は最初の段階で、ビルの塗膜の現状を診断します。診断結果は塗装工事の参考とされるのです。
ところで、外壁診断の方法は業者によって異なる場合があります。ある業者は入念に調べ、別の業者は簡単に調べる…といった具合です。
当然ながら診断を適切に行わない業者は良くはありません。
外壁診断の内容・方法を最初に聞いておけば、工事の精度を知る上で参考になります。最初の段階で診断方法・内容を確認しましょう。
アフターサービス体制を確認する
施工業者のアフターサービス体制の確認も非常に重要です。
どのような体制を敷いているか、どのようなサービスを展開しているかを最初の段階で確認しましょう。
尚、アフターサービス体制の確認をいい加減に終わらせると「万が一」の場合に対応してもらえない事態もあり得ます。
まとめ
ビルの外壁塗装工事について取り上げました。
ビルの外壁の種類から塗装の不具合、業者選定のポイントなどが理解できたことでしょう。
特に、現時点で外壁塗装を検討している人においては、自分のイメージが具体的になったとも思います。
ビルの外壁塗装は単なるペンキ塗りではありません。ビルの耐用年数や経営にも影響するため、計画をしっかり立てて行いましょう。
尚、オフィスビルの外壁塗装を含む各種工事に関するご依頼は「ビルディングデザイン」がおすすめです。
オフィスデザイン・設計から施工まで自社ですべての内容を承っているので、個別に業者を依頼するよりもコストを抑えれる可能性もありますし手間も省けます。
さらに、物件選びからサポートをしているため、要望に合ったオフィス空間を提供できます。
「ビルディングデザイン」を利用して、費用を抑えつつ快適な新オフィスをデザインしましょう。