店舗内装クロス工事とは?貼り方から流れや必要な道具について解説!
店舗の内装のイメージに大きく影響を与える内装クロス工事は、天井や壁といった空間の中でも占める面積が多い部分の工事です。
そんな内装クロス工事ですが、仕上がっている状態は普段見慣れている方も多いですが、どのようにして工事しているのか、必要な道具はどんなものがあるのかなど、わからない方が多いことでしょう。
そこで今回の記事では、店舗内装クロス工事のクロスの貼り方や工事の流れ、必要な道具などについて解説していきます。
目次
内装クロス工事とは
内装クロス工事とは、天井や壁にクロスを貼って仕上げる工事のことをいいます。
住宅や店舗の新築工事での新規の貼り付けから、リフォームなどによる貼り替えなどいろいろな場面で工事が行われています。
内装クロス工事は、簡単な作業のように見えますが、丁寧な下地処理や貼り付けを行わなければ、仕上がりに大きく影響を与えます。
そのため、クロス職人は細心の注意を払いながら作業の方を行い、経験値の高さが仕上がりの良し悪しを決定します。
内装クロス工事は仕上げの工事であるため、工事終盤に行われる工事であり、作業中も床や造作材に傷をつけないように、注意しながらの作業が必要です。
クロスの種類もさまざまなものがあり、種類によって貼り方の難易度も変わってきます。
作業空間の温度や湿度も仕上がりに影響してくるため、作業を行う場所の環境にも気を配る必要があります。
このようにさまざまな状況や事柄を気にして作業を行う必要があるため、簡単そうに見えても、デリケートな工事なのが、内装クロス工事です。
内装クロス工事の流れ
内装クロス工事は、意外とデリケートな工事であることを解説していきましたが、実際には、次のような流れで内装クロス工事は行われていきます。
・設置物の取外し、復旧
・パテ下地処理
・クロス貼り付け
上記のような流れで、内装クロス工事は進んでいきます。
内装クロス工事はすぐにクロスを貼り付けしていくわけでなく、貼り付け前の準備が重要となってきます。
ここからは、内装クロス工事の詳しい流れについて解説していきます。
内装クロス工事の流れ①:設置物の取り外し、復旧
まずクロスを貼る前に、壁や天井に取り付けられている設置物の取り外しを行います。
特に新築工事の場合では、階段の手すりや可動棚といったクロスを貼る際に、邪魔になるものを取り外します。
クロスを貼る壁や天井に設置物が残っていると、貼り付けが困難となり仕上がりが悪くなり、作業効率も悪くなります。
それを防ぐために一度取り外す作業を行います。
しかし、注意しておかなければいけない点があります。
取り外しした設置物を復旧する必要があるため、設置位置がわかるようにしておかなければいけません。
ビスなどで固定されていたものであれば、何か所かの取り付けビスを残してクロスを貼り、復旧の際には、そのビスを目安に設置物の取り付けを行えば位置や高さが変わることなく復旧が可能です。
内装クロス工事の流れ②:パテ下地処理
設置物の取り外しが完了したら、次にパテによる下地処理を行います。
これはクロス貼り付け面を平らにするためにパテで凹凸をなくす作業です。
通常、新築工事であればクロスを貼る面は石膏ボードが貼られている場合が多いです。
石膏ボードにはクロスの貼り付けしやすいように紙が貼られていますが、石膏ボードを貼り付ける際のビスが多く打たれています。
さらに石膏ボードは1枚のサイズが決まっているため、1枚1枚の石膏ボードの間には溝が出来ています。
そんなビスの設置箇所や、溝をパテによって埋めていくことが必要です。
パテを凹凸がなくなるように塗りのばしていき、乾燥したらヤスリでけずって平らに仕上げていきます。
このパテによる下地処理をいかに丁寧に行うかによってクロスの仕上がりが変わってくるため、非常に重要な作業といえます。
こちらの作業を適当に行ってしまうと、クロスをいくらキレイに貼っても凹凸が出てきてしまいます。
内装クロス工事の流れ③:クロス貼り付け
パテによる下地処理が完了したらいよいよクロスを貼っていきます。
クロス専用の糊付け機を使用してクロスに糊をつけていきます。
糊が完了したら、壁や天井などにクロスを貼り付けます。
貼り付けには、刷毛や定規を使用してクロスの間の空気を抜きながら貼り進めていきます。
空気をしっかり抜いておかなければ、あとでクロスが剥がれてくる可能性があるため、丁寧な作業が必要です。
クロスを貼り進め空気が抜けていることが確認出来たら、余分なクロスをカッターでカットします。
クロスのジョイント部分や、天井と壁、壁と壁の入隅部分には、コーキングといって、クロスと同じ色のボンドを使用して継ぎ目などが目立たないようにします。
このコーキングは、固まるとゴムように伸縮するため年月が経つと切れてしまうものなので、打ち直しを行う必要があります。
クロスは傷や汚れがつきやすく、傷がついた場合は貼り替えでの対応であったり、部分貼り替えなどによって対応は可能ですが、貼り付け作業を行う際には、注意しながらの作業が必要です。
クロス張替え工事の場合
新規でのクロス工事であれば、先ほど解説した流れで進めていきますが、クロス張替え工事の場合は、もうひとつ作業が追加されます。
それは、既存のクロスを剥がす作業です。
クロスの上から新たにクロスを貼ることは可能ですが、剝がれやすく仕上がりがキレイにならない場合が多いので、張替えの場合は既存のクロスを剥がさなければいけません。
クロスの端の方へカッターで切り込みを入れ、随時剥がしていく作業です。
特にコーキングをしている箇所は丁寧にカッターで切り込みを入れて作業を行います。
注意点として、クロス紙には「裏打ち紙」と呼ばれる裏紙があり、そちらを残してクロスを剥がすことで、新たに貼るクロスの接着を良くする効果があります。
既存のクロスの劣化状況などによって、裏紙をキレイに残せる場合と、残せずクロスと一緒に剥がれる場合があるため、状況に応じた対応が必要です。
裏紙も一緒に剥がれた場合には、新たにパテ処理などで凹凸を無くしたりしたり、接着を良くする対応が必要となってきます。
クロス工事に使用する道具
内装クロス工事に使用する道具について紹介します。
道具 | 用途 |
カッター | クロスをカットする際に使用します |
スクレーパー | クロスを剥がす際に使用します |
コーキング | ジョイント部分を目立ちにくくさせます |
パテ | 下地処理に使用します |
パテ板、パテベラ | パテを塗るときに使用します |
やすり | パテを削り、下地を平らにします |
この他にも、クロスを貼る際に使用する糊などが必要となってきます。
下地のパテを早く乾かすために、ドライヤーを利用する職人の方もいます。
さらに水平を出すための、レーザー墨出し機など職人によって使用する道具はさまざまです。
作業効率を上げるために、適切な道具を使用して作業精度の向上を行っています。
クロスの貼り方について
ここからはクロスの貼り方について紹介します。
クロスの貼り方には2つの種類があります。
・突き付け貼り
・重ね貼り
この2つの貼り方について詳しく解説していきます。
クロスの貼り方①:突き付け貼り
突き付け貼りは、クロスの端と端を合わせて貼りつける貼り方です。
クロスを重ねて、カッターを入れるということがないため、下地に切り込みなどが入らないのですが、ズレや隙間が出ないように貼り付けなければいけないため、難易度の高い貼り方です。
さらにクロスの柄によってその施工の難易度は高くなります。
ジョイント部分が目立ちにくいものであれば、ある程度施工可能ですが、薄いクロスや柄が目立つものやジョイント部分が目立つものには不向きな貼り方といえます。
クロスの貼り方②:重ね貼り
重ね貼りは、ジョイント部分のクロスを重ねて貼り、重なった部分をカッターで切り落とし、ジョイントを仕上げる貼り方です。
特に柄もののクロスなどのジョイント部分をキレイに仕上げることが可能です。
この貼り方を行っている職人さんが多いのが特徴です。
クロス工事の標準的な貼り方ともいえます。
クロスの種類
クロス工事を行う際のクロスですが、現在ではその種も豊富となっています。
・ビニールクロス
・紙、布クロス
・機能性クロス
一部ではありますが、主に利用されるクロスについて詳しく解説していきます。
クロスの種類①:ビニールクロス
ビニールクロスは、ビニル素材で加工がしやすくさまざまなデザインのクロスがあります。
ビニル素材は、他の素材に比べて施工が簡単でコストが安く済みます。
品質も安定しており、耐久性の高いのも特徴です。
凹凸のあるエンボス加工や発砲させたもの、プリントを施したものなどさまざまなものがあります。
木目調、石雌蝶、織物調といったデザインも豊富もあります。
ビニールクロスの特徴をまとめますと、
種類 | 特徴 |
ビニールクロス | 耐久性、耐水性、耐油性がある |
安価で品質が安定している | |
補修は困難でカビ、ダニが発生しやすい | |
メンテナンスは容易 |
上記のような特徴を持ち、最も利用されているクロスの素材といえます。
クロスの種類②:紙、布クロス
紙クロスは、パイプを原料としたプリント、エンボス加工をしたものです。
他にも、和紙やケナフといった非木材紙を原料にしたものもあります。
布クロスは、レーヨン、絹、麻、木綿などで作られた壁紙です。
この2つのクロスの特徴についてですが、
種類 | 特徴 |
紙クロス | 吸音性があり、通気性がある |
デザインが豊富にある | |
環境、健康への配慮がなされている | |
お手入れが困難 |
種類 | 特徴 |
布クロス | 経年劣化を楽しめる |
メンテナンスが必要 | |
高級感があり質感がよい | |
吸湿性、通気性がある | |
汚れが落ちにくい |
上記のような特徴を持っているのが、紙、布クロスです。
特徴を生かすことができる空間に使用することで、その効果を十分に発揮できます。
クロスの種類③:機能性クロス
さまざまな場面や利用状況に適した機能性クロスには多くの種類があります。
種類 | 機能例 |
機能性クロス | 傷・汚れに強い |
防臭効果がある | |
耐クラック性能がある | |
抗菌効果がある |
上記のようにさまざまな機能をもったクロスが存在します。
ペットや小さい子供がいる家や空間では、傷や汚れに強いクロスを選択することで、日常生活でのストレスを軽減できます。
さらに防臭効果のあるクロスを選択することで、ペットの匂いの軽減にもつながります。
耐クラック性能があるクロスは、クロスにストレッチ機能がついており、下地のひび割れなどに追従し、クロスがひび割れたりすることを防ぎます。
抗菌効果のあるクロスでは、ウィルス成分の破壊などが行えるクロスとなっており、清潔な空間づくりに役立ちます。
このようにさまざまな機能を持ったクロスがあるので、適材適所で利用場所を選択していきましょう。
まとめ
今回の記事では、内装クロスの工事について詳しく解説していきました。
空間の印象を決定する内装クロス工事は、簡単そうに見えて非常に繊細な工事です。
さらに使用するクロスの種類も多く、素材の特徴を生かすことで、より快適な空間づくりが可能です。
内装クロス工事について、正しく理解し内装クロス工事をご検討中の方は、豊富な素材の特徴を生かした利用をおすすめします。
今回の記事で内装クロス工事のさまざまな場面での参考にしてください。
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