古いオフィス、そのままで大丈夫?リノベーションで変わる働き方と経営効果
経営者や事業責任者、人事担当者の中には、「社員がより快適に働ける職場をつくりたい」「職場環境を改善して、生産性やモチベーションを高めたい」と考える方も多いのではないでしょうか。
そんなとき、有力な選択肢の一つとなるのがオフィスリノベーションです。
オフィスリノベーションを行うことで、働く環境が整い、業務効率や社員満足度が向上します。それだけでなく、企業のイメージアップやブランディング強化にもつながります。
近年では、ハイブリッドワークやテレワークの定着により、柔軟な働き方に適したオフィス設計が求められています。この記事では、そんな現代のニーズに応えるオフィスリノベーションの具体的なメリットや成功事例を詳しくご紹介します。事例を知ることで、自社にとってどのような形のリノベーションが有効なのか、どのような効果が期待できるのかが、より明確になります。
これからオフィスリノベーションを検討している方にとって、社員の働きやすさを実現し、企業価値を高めるヒントになれば幸いです。
目次
・4.成功事例紹介:オフィスリノベーションが企業にもたらした変化
オフィスリノベーションとは?
オフィスリノベーションとは、既存のオフィス環境を、より快適で機能的な空間へと再構築する取り組みのことです。単なる老朽化の修繕(リフォーム)とは異なり、働き方や企業文化に合わせて空間を根本から見直す点が特徴です。
たとえば、
-
レイアウトの見直し
-
執務スペースや会議室の再構成
-
社員間のコミュニケーションを促進する空間設計
-
最新設備・テクノロジーの導入
といった施策がリノベーションに含まれます。
現代のビジネス環境では、テレワークやハイブリッドワークなど働き方の多様化が進んでいます。
そのため、従業員が自由に働ける柔軟性のある空間設計が重要になっています。
さらにオフィスリノベーションは、見た目の改善だけではありません。企業文化やブランドイメージの形成・発信にも効果的です。たとえば、
-
オープンスペースの導入でコミュニケーションの活性化
-
エコ設計や環境配慮型の設備導入によるSDGs対応
など、組織の価値観や取り組みがオフィス空間にも反映されるようになります。
オフィスリノベーションの5つのメリット
1. 社内コミュニケーションの活性化
リノベーションによってオープンなレイアウトに変更することで、社員同士の交流が自然と生まれやすくなります。
例えば、
-
フリーアドレスや共有ラウンジを設ける
-
リラックススペースやカフェスペースを導入する
といった工夫によって、部署や役職を超えた会話の機会が増加。偶発的な対話が新たなアイデアや協業のきっかけになることもあります。
「顔の見えるオフィス」が、組織全体の連携を高める起点となるのです。
2. 業務効率の向上
レイアウトの最適化や最新設備の導入によって、業務の流れがスムーズになります。
-
オフィス内の動線を見直し、移動時間を短縮
-
必要な資料や設備にすぐアクセスできる配置に変更
-
Wi-Fiや電源、モニター環境などITインフラの整備
このように、日々の“ちょっとした不便”を解消するだけでも、社員の集中力やパフォーマンスが大きく変わります。また、用途に合わせて働く場所を選べるモジュール型のワークステーションや、可動式の家具を導入することで、フレキシブルな働き方が可能になります。
3. 社員のモチベーション向上
新しいオフィス環境は、社員にとっての「働くモチベーション」そのものを高めます。
-
自然光を多く取り入れた開放感のある空間
-
パーソナライズされた作業エリアの設置
-
観葉植物やアートを取り入れた空間演出
こうした工夫が、日々の仕事への前向きな気持ちを育てる土台になります。また、リノベーションに社員の声を反映させることで、「自分たちのオフィス」という当事者意識が芽生え、働くことへのエンゲージメント向上にもつながります。
4. 企業イメージの強化
オフィスは、外部から見た企業の「顔」です。
洗練されたオフィス空間は、訪問する取引先や求職者への信頼感を生みます。
-
最新設備やデザイン性を取り入れることで先進的な印象に
-
清潔感や統一感のある空間が、プロフェッショナリズムの象徴に
また、社員自身も「この会社で働いていることが誇らしい」と感じられるようになり、SNSや口コミなどでも良いイメージが広がります。
企業ブランディングの一環として、オフィス環境を戦略的に整える企業が増えているのはそのためです。
5. 経費削減・コスト最適化
「リノベーションはコストがかかる」と思われがちですが、中長期的には経費削減に貢献するケースも多くあります。
-
高効率な照明や空調機器の導入で光熱費を削減
-
無駄なスペースを減らして家賃の最適化
-
設備更新によるメンテナンス費用の軽減
結果として、快適な環境とコストパフォーマンスの両立が可能になります。
スペースの有効活用によって、同じ床面積でもより多くの社員が働ける設計も実現できるため、費用対効果の高い投資と言えるでしょう。
リノベーションの種類と施工期間
オフィスリノベーションには、目的や規模に応じてさまざまな種類があります。
選ぶ手法によって、施工期間・コスト・業務への影響も大きく変わるため、自社に合った方法を見極めることが重要です。
ここでは代表的な3つのリノベーション方式について、特徴と注意点を解説します。
フルリノベーション:オフィスを丸ごと刷新
【概要】
フルリノベーションは、オフィス全体を抜本的に見直す大規模な改修です。
レイアウト変更、内装の刷新、インフラの入れ替え、家具の再配置まで、全面的に新しい空間を創り出すことができます。
【メリット】
・新しいコンセプトに基づいたデザインで企業イメージが一新
・社員のモチベーションや定着率の向上
・ハイブリッドワーク対応やABWの導入にも最適
【施工期間】
・設計〜施工まで3ヶ月〜6ヶ月以上が目安
・施工中は一時的な在宅勤務や仮設オフィスの活用が必要
【注意点】
・コストは高額になる傾向
・プロジェクト管理や業務影響の最小化が成功の鍵
【おすすめ企業】
・拡大・統合・リブランディングを控えた成長企業
・長年レイアウトを変えていない中堅・大企業
ポイントリノベーション:部分的な改善で効果を実感
【概要】
ポイントリノベーションは、一部のエリアだけを選んで改修する手法です。
たとえば会議室・休憩スペース・エントランスなど、利用頻度が高い場所や課題が明確なエリアを重点的に改善します。
【メリット】
・短期間・低コストで導入可能
・業務への影響が少なく、平常通りの運用がしやすい
・小規模でも空間の質が向上し、社員満足度の改善につながる
【施工期間】
・数日〜数週間程度が目安
・土日祝や夜間の工事で通常業務に影響を出さず実施可能
【注意点】
・デザインやコンセプトに全体との一貫性を持たせることが重要
・複数回に分ける場合は、中長期の計画を立てて進めるのが理想
【おすすめ企業】
・予算に限りがある中小企業
・初めてのリノベーションで段階的に進めたい場合
スケルトン工事:ゼロからつくる完全自由設計
【概要】
スケルトン工事とは、既存の内装・設備をすべて撤去し、構造体(スケルトン)の状態に戻す工事です。
「白紙のキャンバス」に描くように、理想のオフィスをゼロから設計できるのが最大の特長です。
【メリット】
・現状の制約にとらわれず、自由度の高い設計が可能
・ワークフローに最適化された空間づくりが実現
・空調・電気・通信環境も最新化できる
【施工期間】
・3ヶ月〜12ヶ月程度と長期にわたるケースが多い
・入居開始日から逆算して十分な準備期間が必要
【注意点】
・工事費は最も高額になる傾向
・計画・予算・スケジュールの綿密な管理が必須
【おすすめ企業】
・長期利用を前提に入居予定の企業
・自社のブランドや働き方に強くこだわりたい企業
種類 | 対象範囲 | 工期目安 | コスト目安 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
フルリノベーション | オフィス全体 | 3〜6ヶ月以上 | 高 | 機能もデザインも一新。全面改修。 |
ポイントリノベ | 一部エリア | 数日〜数週間 | 低〜中 | 限定的な改善で業務への影響が少。 |
スケルトン工事 | 全体(骨組) | 6ヶ月〜1年程度 | 非常に高 | 自由設計が可能だが長期戦向け。 |
成功事例紹介:オフィスリノベーションが企業にもたらした変化
ここでは、当社が実際に施工を担当したオフィスリノベーションの事例をご紹介します。
各企業が抱えていた課題に対して、どのように空間設計を見直し、社員の働き方・職場環境・企業イメージの向上へとつなげていったかを具体的に解説します。
事例1:部署間の壁を取り払い、コミュニケーションを活性化
ある住宅関連企業様からは、「部署ごとの仕切りが業務の妨げになっている」というご相談をいただきました。
以前のオフィスでは、部門ごとに分断されたレイアウトのため、他部署との連携や情報共有が遅れるという課題がありました。そこで私たちは、オープンなレイアウトに再構成し、視線と動線が交差する設計をご提案。社員同士の自然な対話が生まれるように工夫を施しました。
また、働く空気を切り替える場としてリフレッシュスペースも新設。「ちょっとした雑談がアイデアのきっかけになる」「気軽に話せる場ができてうれしい」といった声が、施工後すぐに社内から寄せられました。
事例2:フリーアドレス導入で柔軟な働き方を実現
建設インフラ関連企業様では、固定席中心のレイアウトが業務に合わなくなってきたとのことで、柔軟な働き方への対応を重視したリノベーションをご希望されました。
そこで、フリーアドレスを採用し、その日の業務や気分に応じて働く場所を選べるオフィスへと刷新。また、プロジェクトごとに使える少人数用のミーティングルームやフォンブースも設置し、集中と協働が両立できる環境を整備しました。
「静かに考えたいときも、チームで集まりたいときも、すぐに場を選べるので働きやすくなった」という社員の声もあり、導入後は職場に対する満足度が目に見えて高まったとのことです。
事例3:老朽化したオフィスを刷新し、快適で創造性を引き出す空間へ
クリエイティブ系の企業様より、「築年数が経過したオフィスを、安全で快適な環境にしたい」とご相談をいただきました。
あわせて、「社員がのびのびと発想できる、自由度の高い空間にしたい」というご希望もあり、働きやすさと創造性の両立をテーマに、リノベーションを計画しました。
まず取り組んだのは、老朽化していた設備や内装の刷新です。照明はLED化し、空調設備も効率的なものへ更新。室内の温度ムラや空気のこもりを解消しました。また、配線や収納スペースも整理し、安全性と利便性を意識した動線設計を行いました。
空間づくりにおいては、個別ブースを減らし、チームで自由に使えるオープンスペースを中心に再設計。さらに、執務エリアの一角にラウンジスペースを設け、業務の合間に気軽にリラックスできる場を提供しました。この空間では、社員同士のちょっとした会話が自然と生まれ、部署を超えたコミュニケーションの促進にもつながっています。また、社内見学に訪れたパートナー企業からも「想像以上に開放感があり、御社らしさが出ている」と好評だったとのことです。
このように、安全性・快適性・企業文化の表現をバランスよく取り入れたリノベーションは、社員のモチベーションや外部への印象にも大きな効果をもたらします。
オフィスリノベーションに使える補助金・助成金制度
オフィスリノベーションにおいてコストの問題は大きな課題です。幸いなことに、この課題を解消するための補助金や助成金制度がいくつか存在します。これらを活用することで、リノベーションにかかる費用を軽減し、効率的な資金運用を図ることが可能です。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は製造業やサービス業を中心とした企業が、設備投資や技術開発を行う際に利用できる補助金制度です。この補助金は、新規の製品やサービスの開発、プロセスの改善、あるいは新しい事業活動の導入などに必要な設備投資やシステム開発に対して補助金が出ます。オフィスリノベーションに利用する際には、新たな業務フローをサポートするためのインフラ整備にも活用できます。例えば、最新の業務システムやデジタルインフラの導入などが該当します。
事業承継・引継ぎ補助金
事業承継・引継ぎ補助金は、後継者問題に悩む中小企業が事業承継を円滑に進めるための補助金です。オフィスリノベーションにおいては、経営基盤の強化や事業の継続性を高めるための改装をサポートします。具体的には、継承した後継者が自社のブランドを一新し、新しい企業文化を創出するための改装費用や、事業の再構築に伴う設備投資が対象となります。これにより、次世代の企業経営をスムーズにするためのリノベーションが実現可能です。
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、新型コロナウイルスの影響で売り上げが減少した企業が、新たな事業分野への進出や事業転換を図るための補助金です。オフィスリノベーションに関しては、新しい事業活動のための設備投資や改装が補助対象となります。例えば、テレワーク対応のオフィス空間の整備や、新規事業に必要な専門エリアの設置などがあります。この補助金を活用することで、企業は柔軟に事業環境を整備し、競争力を維持することが可能です。
IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者が業務効率化と顧客サービス向上を目的としてITツールを導入する際に利用できる補助金です。オフィスリノベーションにおいてもこの補助金は有効であり、新たなITインフラの整備や業務システムの導入に利用できます。例えば、クラウドサービスの導入、業務管理ソフトのインストール、またはデジタルトランスフォーメーションの一環としてのシステム統合などが考えられます。これにより、業務の効率化とともに、オフィス環境の向上も期待できます。
オフィスリノベーションの注意点
オフィスリノベーションは、企業にとって大きな投資です。
成功させるためには、事前に押さえておくべきポイントをしっかり確認することが不可欠です。
ここでは、トラブルを避け、効果的なリノベーションを実現するための注意点を解説します。
課題や目的を明確にする
リノベーションを始める前に、「なぜリノベーションを行うのか」をはっきりさせておくことが最も重要です。
-
社員同士のコミュニケーションを活性化したいのか
-
業務効率を改善したいのか
-
採用や企業ブランディングを強化したいのか
こうした課題と目的を明文化することで、空間設計や仕様の方向性が明確になり、ブレのない進行が可能になります。
また、目指すゴールが明確であれば、リノベーション後の効果検証や、途中での見直し判断もしやすくなります。
リノベーション可能な施工範囲を確認する
理想のオフィス像があっても、建物の構造や管理規約、法令によって制限されるケースがあります。
例えば、
-
ビル側の規約で天井・床の変更が制限されている
-
消防法や建築基準法によって間仕切りの設置に制限がある
-
空調や配管の位置が変更できない
といったケースも。早い段階で施工可能範囲を明確にしておくことで、後戻りや追加コストを防ぐことができます。
管理会社やビルオーナーとの事前確認は必須です。
賃貸物件では原状回復の義務を考慮する
賃貸オフィスでリノベーションを行う場合は、原状回復義務に注意が必要です。
多くの賃貸契約には、「退去時に原状回復を行うこと」が明記されており、オフィスを入居時と同じ状態に戻す必要があります。
そのため、
-
どの範囲まで改修してよいか事前に確認する
-
将来の原状回復に備えて、撤去しやすい構造や資材を選定する
-
回復費用の見積りもあらかじめ算出しておく
といった対応が求められます。不動産会社や管理会社との早めの相談がトラブル防止につながります。
まとめ:リノベーションでオフィスの価値を最大化しよう
オフィスリノベーションは、単なる「内装の刷新」にとどまらず、
働き方・社員満足・企業価値を向上させるための経営戦略の一環として機能します。
成功させるためには、以下のポイントを押さえることが大切です。
-
目的と課題を明確にし、設計の軸を定めること
-
法的・構造的な施工条件を早めに確認すること
-
将来的な原状回復や移転も視野に入れた計画を立てること
また、補助金や助成金制度の活用で、費用面の負担を軽減できる可能性もあります。
リノベーションによって、社員のエンゲージメントが高まり、社内外からの信頼感も向上します。「ただ働くだけの場所」から、「社員が誇れる職場」へと進化させるチャンスです。この機会に、自社にとって最適なリノベーションを検討してみてはいかがでしょうか。
なお、オフィス内装工事に関するご依頼は「ビルディングデザイン」がおすすめです。
ビルディングデザインは年間400件以上のオフィス内装工事実績があり、大手企業のビルオーナーや管理会社からも依頼を受けているオフィスビル工事のプロ集団です。お見積りは無料ですのでぜひお気軽にお問い合わせください。