オフィスのフリーアドレスとは?導入方法からメリット・デメリットについて解説
企業が利益を上げるためにはあらゆる努力をしなければいけません。それは経費の削減であったり、材料のコストダウンだったりと、さまざまな分野があるでしょう。しかし、生産性にオフィスの形態が影響していることは案外知られていません。
ところで、コロナの問題が解決しつつある今、企業はオフィスの形態を見直し始めています。その1つの答えがオフィスのフリーアドレス化です。
さて、フリーアドレス化は生産性にまで影響します。そのため、オフィスと生産性の関係を知っておくことは大切です。
そこで、この記事ではオフィスと生産性の関係から始めて、フリーアドレスのメリットや内装の注意点などを解説します。
目次
オフィスと生産性にはどんな関係があるか
まずはオフィスと生産性の関係について取り上げます。
生産性が向上すると企業の利益も増加します。では、どのようなプロセスを経てオフィスが生産性の向上に繋がるかを検証しましょう。
オフィスの状態で「働きやすさ」が変わる
オフィスの状態は「働きやすさ」に影響します。
企業は組織によって役割が異なります。しかし、プロジェクトのテーマによっては組織を超えた連携が必要です。
一般には所属チームのリーダーの統率の元に動かなければなりません。しかし、顧客、あるいはプロジェクトによっては、営業マンは別部門…技術部門、生産部門、購買部門などと連携を取る必要が生じます。
しかし、旧態依然のようなオフィスであれば、上長の顔もあるため、命令系統にまで悪影響を及ぼすリスクも発生します。つまり、働く立場からすれば、「やりにくい」のです。
しかし、オフィスに工夫があればプロジェクト単位の活動も可能。働きやすくなるのです。
オフィスの状態で「風通し」も変わる
仕事を気持ち良く行うためには「風通し」の良いことが欠かせません。そして、オフィスの状態は風通しにも影響します。
例えば、情報伝達がどこかで止まってしまったり、指示や報告が不明確になってしまったりすると、受けた方は対応に戸惑います。しかも、対応が遅れたりすると、最悪は納期遅れにも繋がり得るのです。
しかし、オフィスの状態が良くなれば指示や報告がストレートに届きます。風通しが良くなり、気持ち良く仕事が出来るのです。
従業員の体調にも影響する
仕事が気持ち良く出来るならば、従業員のストレスレベルも低下するため、個々の体調も良くなります。
今は仕事のスピードと品質が昔よりも厳しくなっていることもあり、ストレスレベルが高い職場は少なくありません。実際、職場のメンタルヘルスは社会問題にもなっています。
しかし、仕事が気持ち良く出来れば、ストレスレベルも抑えられます。オフィスの状態が従業員の体調にも影響するのです。
オフィスのフリーアドレスとは何か
今の一般的なオフィスは部門単位で机を並べることが多いです。管理職の前にメンバーが机を並べるケースがよく見られます。
しかし、今では違うスタイルのオフィスが登場しています。その中の1つが「フリーアドレス」です。
ここでは、フリーアドレスとは何かを解説します。
個人用のデスクではなく共用デスクを使うオフィス
一般のオフィスは個人用のデスクを割り当てられています。AさんはAさんのデスク、BさんはBさんのデスク、といった具合です。
しかし、フリーアドレスの場合は席が決まっていません。デスク全体が共用になっていて、自由な席で仕事ができるのです。
例えば、昨日はAさんが仕事をしていたデスクでBさんが仕事をする、AさんはCさんが使っていたデスクを今日は使う…といった具合に、フレキシブルに席を決めて仕事をするのです。
ただし、フリーアドレスであっても完全に無秩序という訳ではありません。選ぶ自由を制限するなど、ルールを決めておくケースが見られます。
好きな場所で仕事をする
フリーアドレスは席が決まっていません。基本的には好きな場所で仕事をします。
昨日のAさんはリーダーの近くで仕事をした、今日は少し離れた場所で仕事をする…のように、自由な配置を認めるのです。
ですから、隣の部門との相談がある日には隣に近い位置の席を選び、リーダーとの相談や決済が必要な場合はリーダーの近くの席を選べます。その結果、横との連携がスムーズに行き、次の日にはリーダーとその件の決裁を取ることが可能なのです。
ただし、完全に好きな場所にしてしまうと規律が乱れる可能性もあります。ある程度のルールが必要となりそうです。
仕事はノートPCやスマートフォンの使用が基本
フリーアドレスは席を変えて仕事をします。そのため、仕事は基本的にノートPCやスマホを活用して行います。
一般のオフィスでは席が固定されていたこともあり、デスクトップPCのオフィスがよく見られます。また、電話も席に固定されているケースが多いです。
しかし、フリーアドレスでは席を固定しないため、ノートPCやスマートフォンの使用が基本です。
見積書を作る場合などは、関連部門の近くにノートパソコンを持って行って打合せながら書類を作成するイメージとなるでしょう。
フリーアドレスのメリットとは
この様に、フリーアドレスには一般のオフィスには無い特徴があります。
それでは、具体的にはどのようなメリットがあるかを確認しましょう。
従業員間のコミュニケーションが活発になる
距離が離れている場合にはコミュニケーションが取りにくいものです。隣の席の人であれば遠慮なく話せるでしょうが、席が3つ離れた位置にある場合、あるいは他部門の人の場合には、会話は減ってしまうことでしょう。
しかし、フリーアドレスであれば、席が自由なため、コミュニケーションが必要な相手の近くに行けます。その結果としてコミュニケーションが活発になるのです。
また、他部門のメンバーと話す時であっても近くの席に行けるため、そのメンバーと話すことが容易。横とも話しやすくなり、コミュニケーションが活発になるのです。
尚、オフィス内のコミュニケーションは部門の風通しにも大きく影響します。フリーアドレス化で風通しを良くし、更には働きやすくなるのです。
デスクのレイアウトが変更しやすい
企業は状況によって組織を変更します。例えば、営業力を強化したい場合には営業部門の人員を多くしたり、技術力の底上げをしたい場合にはエンジニアを増やしたりします。
そして、その様な場合には事務所全体のレイアウトを変えることも多いです。
ところで、一般のオフィスではレイアウト変更が大変です。デスクが個人用なため動かす必要が出て来ますし、場合によってはパソコンや電話の配線なども変えなければいけません。
しかしフリーアドレスであれば、デスクを個人専用としないため、レイアウト変更も容易です。
オフィスの引越しはメンバーが多くなってしまえば大仕事です。その点、フリーアドレスであれば時間も労力も抑えられるのです。
部署をまたいだ配置にも対応しやすい
前述のように、仕事によっては他部門との連携が不可欠となる場合があります。
例えば、製造業の営業マンなどは、技術部門や製造部門との連携が必要です。技術部門から図面や仕様書をもらい、製造部門とは出荷のタイミングなどを打ち合わせるからです。
このような場合には、リーダーとの距離も重要なのですが、それ以上に技術部門や製造部門との距離が近くなければいけません。
その点、フリーアドレスならば部署をまたいだ配置にも対応するため、関連部門の近くに座れます。その結果、風通しが良くなり、生産性が上がるのです。
フリーアドレスのデメリットとは
フリーアドレスを導入することはメリットばかりでなく、デメリットも存在します。
そんなフリーアドレスのデメリットについて紹介します。
フリーアドレスのデメリットを理解して、現在の社内環境に合うのか適正な判断を行いましょう。
導入コストがかかる
フリーアドレスのデメリットのひとつとして、導入にあたって初期費用がかかることです。
フリーアドレス化には、ノートパソコンやタブレットなどの機器や、インターネット環境を整える必要があります。
そのため機器などの購入費用などが初期費用としてかかってきます。
さらに、セキュリティ面の強化も必要となるため、導入にあたって計画や準備をしっかり行いましょう。
メリットに意識がいきがちですが、こういった費用面についても検討を行い、費用対効果についてもしっかり検討を行うことが必要です。
社員の集中力低下の恐れがある
フリーアドレスのメリットである座席の自由な移動が社員によっては、集中力の低下につながる可能性があります。
毎日環境が変わることがストレスに感じ、業務の進行が遅れてしまったり悩みを抱える社員のフォローが必要です。
フリーアドレスであっても、オープンになる空間ばかりではなく、区画され閉じられた空間を作り社員が一人で集中して業務を行うことができるスペースの確保を検討しましょう。
社員の勤怠管理が難しくなる
フリーアドレスは社員の勤怠管理や業務の進行確認が行いづらい面があります。
固定された席であれば、出勤状況の把握などが容易に行え、業務の進行状況の確認も同時に行えます。
しかしフリーアドレスでは、該当する社員がどこにいるのかを確認する手間が発生します。
特に急を要する用事がある場合などは、非常に不便に感じることでしょう。
そのようにならないために、部署やチーム内で居場所の共有化を行う、居場所の確認が行えるサービスの利用など、不測の事態にも対応できる体制を整える必要があります。
フリーアドレスの種類について
実際にフリーアドレス化を行う際に、大きく分けて「オールフリーアドレス」「グループアドレス」とに分けることができます。
ここからは、この2種類について詳しく解説します。
オールフリーアドレス
まずオールフリーアドレスですが、こちらは全ての座席をフリーアドレス化を行うパターンです。
メリットとして、部署やチーム関係なく、自由に座席を選ぶことができるため、これまで交流のなかった社員とのコミュニケーションの機会が増加します。
オールフリーアドレスのメリットを多く感じることができるパターンです。
デメリットとしては、同一部署内でのコミュニケーションが取りづらくなるため、生産性や業務効率の低下につながう恐れがあります。
またせっかくオールフリーアドレスにしても、結局は座席が固定化されてしまう可能性があるため、社員へのフリーアドレスの浸透が重要です。
グループアドレス
次にグループアドレスですが、こちらは部署やチームなどのグループ単位で座席を固定し、そのグループ内での座席の自由化を行うパターンです。
チームアドレス、デザインアドレスとも呼ばれます。
こちらのパターンのメリットは、固定席時と同様に部署、チームの場所は明確であるため、特定の人とのコミュニケーションに無駄がありません。
部署内のフリーアドレス化であるため、他部署との交流の機会は減少しますが、チーム内おコミュニケーションが増加し、チーム内の連携がスムーズに行えます。
さらにチーム内でルールを設けることで、チームの働きやすさの向上が期待できます。
デメリットについては、オールフリーアドレスほどの自由度がないため、フリーアドレスのメリットである、他部門との交流増加の効果は小さくなります。
上質なフリーアドレスのオフィスを作るための内装とは
このようにフリーアドレスには魅力的な面が多いのですが、上手く進めるためには内装も無関係ではありません。
フリーアドレスに求められる内装の条件とは、どの様な点かを解説します。
堅苦し過ぎないこと
オフィスのフリーアドレス化はコミュニケーション活発化のメリットがあります。その背景として、意見は自由に出せなければいけません。
さて、オフィスの雰囲気が堅苦しかったら、自由な意見は出やすいでしょうか。
オフィスの雰囲気が堅苦しいならば、リラックス出来ないため、自由な意見は出せません。
そのため、フリーアドレスのオフィスの内装は、「堅苦し過ぎない」ことが大きなポイントです。
壁紙を温かい色にするなどして、リラックスしやすい雰囲気を作りましょう。
適度な開放感は欲しい
柔軟な発想を求めるのならば、自由な雰囲気を作ることが非常に大切です。そのためには「開放感」を持たせることが大きなカギとなります。
例えば、パーテーションの配置を間違えてしまうと、圧迫感を感じるようになり、リラックスもできません。
しかし、パーテーションが光を遮らない様に配置するならば、視野が広くなるため開放感が生まれます。開放感があれば気分も自由になり、柔軟な発想が生まれやすいです。
採光に気を付ける
開放感の演出には「光」を欠かすことは出来ません。光が少なければ寒々しいです。人によっては、気分までもが落ちてしまうことでしょう。
ところで、光は自然の光であることが望ましいです。今の照明器具は優秀で、光の色まで変えられますが、やはり自然の光には及びません。
そのためにも採光は非常に重要になります。自然の光をオフィスに行き渡らせることは大切なのです。
ただし、窓は動かせないため、オフィスの演出は内装
の対応が基本となります。パーテンションの配置や壁紙の色を工夫して、自然の光を取り入れましょう。
きれいで上品にする
「きれいで上品」は基本です。清潔感は清々しい気分にしてくれるからです。
もしかすると「気分の問題で内装を決める」ことは無駄と思うひともいるかも知れません。しかし、仕事をするのは人間です。気分の問題は無視してはいけないのです。
明るく、温かな壁紙やフロア材は気分を落ち着かせ、リラックスさせてくれます。柔軟な発想のためには欠かせません。
ただし、高級な内装材を使えば良い訳ではありません。考え無しに高級な素材ばかりを使ってしまうと、ホテルのロビーの様な雰囲気になってしまうでしょう。あくまでもオフィスの内装ではないため、あまり突飛であることはどうかと思われます。
適度には個性が欲しい
インテリアには個性が大切です。部屋に個性を持たせた方が、生活にメリハリが出るからです。
さて、これはオフィスにも同じことが言えます。オフィスがどれも同じ内装では面白くありません。
当然ながら、フリーアドレスでも同様です。席はフリーでも内装に個性が無ければ、面白味が半減してしまうのです。
そのため、オフィスの内装にも個性が必要です。部屋単位でレイアウトを変えるなどして、オフィスそれぞれの個性を出しましょう。
ただし、個性の出し過ぎはあまり良くありません。個性はあくまでも「ある程度」に留めておくことが大切です。
インテリアグリーンの配置もオススメ
オフィスはとかく殺風景になりがちです。そのためにも内装の工夫が必要なのですが、内装材や配置だけでは、どうしても限界が出ます。
そこでオススメなのがインテリアグリーンの配置です。自然の植物は造花などとは違います。やはり自然は1番です。大きなサイズの物でなくても、デスクの近くに置くだけでホッとできるため、ぜひとも配置を検討しましょう。
尚、今ではレンタルのグリーンもあるため、管理もあまり必要ありません。
「電波が届く」は最重要
フリーアドレスはノートPCやスマートフォンでの仕事が基本です。そのためには高品質なWIFI環境が不可欠です。仮にWIFIの調子が悪くなった場合には、業務の遅延まで発生し得ます。
内装とルーターなどの配置に注意をして、どの場所でもスムーズに繋がる環境を作りましょう。
尚、電波はWIFIだけの問題ではありません。外部からの電波も大切なため、内装材には気を付けましょう。
まとめ
オフィスのフリーアドレスのメリットや内装のあるべき姿を取り上げました。オフィスが生産性に大きく関係すること、そしてフリーアドレス化が有効であることが把握出来たことでしょう。
また、そのオフィスの内装の条件もイメージ出来たのではないでしょうか。
オフィスの内装が良ければフリーアドレス化も上手く行きやすいです。フリーアドレス化を検討するのであれば、プロの内装業者と相談しましょう。
なお、オフィスデザインに関するご依頼は「ビルディングデザイン」がおすすめです。オフィスデザイン・設計から施工まで自社ですべての内容を承っているので、個別に業者を依頼するよりもコストを抑えれる可能性もありますし手間も省けます。
「ビルディングデザイン」を利用して、費用を抑えつつ快適な新オフィスをデザインしましょう。
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