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原状回復工事の相場はいくら?安くする方法や適切な業者の選び方

 
退去する際、借りた当時の状況に戻す原状回復工事を実施する必要がありますが、相場がいくらかわからず困っている方もいるでしょう。
そこで本記事では、原状回復工事の相場を詳しく解説します。相場を安くする方法や、相場価格で依頼できる業者の選び方も紹介するので、原状回復工事を行う予定の方はぜひ参考にしてください。

目次

・1.原状回復工事の相場は坪単価3〜50万円

・2.原状回復工事の相場が高くなる理由

・3.原状回復工事の費用を安くする方法

・4.原状回復工事の見積もりをチェックするポイント

・5.原状回復工事を相場価格で依頼できる業者の選び方

・6.原状回復工事で不安があるときは専門家に相談するのもおすすめ

・7.まとめ

 

原状回復工事の相場は坪単価3〜50万円

原状回復工事の相場は、業種や建物によって坪単価3〜50万円と大きく差があります。
オフィスと店舗に分けて解説するので、自社と同じ業種をチェックしてください。

オフィス:3〜40万円

一般的なオフィスで原状回復工事を実施する場合、坪単価3〜30万円が相場です。
以下のように、オフィスの規模によって相場が異なります。

  • 50坪以内の小規模オフィス:3〜7万円
  • 51〜100坪の中規模オフィス:6〜10万円
  • 101〜300坪の大規模オフィス:8〜15万円
  • 301坪以上の複合施設などのオフィス:15〜40万円

あくまで目安なので、立地や高級ビルの場合は相場以上になることも珍しくありません。

店舗:2〜50万円

店舗の場合、飲食店かどうかによって相場は異なります。

  • 飲食店の場合:20〜50万円
  • 飲食店以外の店舗(30坪以内):3〜7万円
  • 飲食店以外の店舗(31〜50坪以内):3〜10万円
  • 飲食店以外の店舗(50坪以上):5万円以上

飲食店は水回りの設置や業者の指定により、坪単価が高額になりやすい傾向があります。
飲食店以外の店舗は壁・床などの張り替えですむケースが多いため、坪単価は低くなりやすいでしょう。

 

原状回復工事の相場が高くなる理由

ここでは、原状回復工事の相場に差が出てしまう理由を詳しく解説します。
受け取った見積もりが適切か確認したい方は、ぜひ参考にしてください。

 

特殊な内装工事を行なっていた

特殊な内装工事を行なっていた場合、原状回復工事の相場は高くなります。たとえば暖炉・シャンデリアなど特殊なインテリアを設置したり、病院でレントゲン室があったりすると、その範囲を原状回復するための費用がかかるので注意しましょう。

一方で特殊な内装工事を行なっておらず、仕切りなども設けていない場合は原状回復工事の相場は低くなります。

飲食店や研究室として利用していた

原状回復工事の相場が高くなるケースとして、飲食店や研究室として利用していた場合も挙げられます。飲食店・研究室では上水道・下水道を設置するなど水回りを大きく変更しているため、工事が増えて費用が高くなります。

また飲食店や研究室は、油汚れやカビなどにより壁・床が傷みやすい環境です。その結果、通常損耗と過失による損耗の判断が難しくなるので、すべての損耗に原状回復工事を行う必要があり、費用が嵩みやすくなります。

入居しているビルが高級または新しい

高級ビルや新築のビルに入居していた場合、原状回復工事の相場が高くなりやすい傾向があります。そもそも高級ビルは立地がよいケースが多いため、坪単価が高いです。さらに高級ビルや新築のビルでは、空調コントロール設備や入退館システムなど、退去時にシステム変更する手間が発生するため追加で費用がかかります。

工事に用いる資材や処分費が高い時期・地域だった

工事に用いる資材や処分費が高い時期・地域で原状回復工事を行うと、通常よりも価格が高くなります。資材や撤去した間仕切り・電線などの処分費は毎月値段が上下しているため、時期によって相場が変わります。さらに地域や立地によって輸送費や人件費などの工賃も異なるケースは多いです。

資材や処分費が高い時期・地域だった場合、できる限り自力で撤去するなど工夫が必要でしょう。

業者が指定されている

原状回復工事を実施する業者が指定されている「指定業者制度」を採用しているテナントに入居している場合、相場以上の費用がかかるケースが多いです。オーナーや不動産会社が原状回復業者を指定していると価格競争が起こらないため、価格が下がりにくくなります。商業施設や大手デベロッパーと契約するケースでは、業者が指定されていることが一般的です。

原状回復工事の範囲が広い契約だった

原状回復工事の範囲が広い契約だった場合、相場より価格が高くなりやすいでしょう。原状回復工事は借主が負担すべき範囲と、貸主が負担する範囲が決まっています。必ず入居時に結んだ賃貸借契約書を確認しましょう。

 

原状回復工事の費用を安くする方法

原状回復工事が相場より高い場合でも、費用をできる限り抑えたい人が多いでしょう。ここでは、原状回復工事の費用を安くする方法を解説します。

居抜きで退去する

物件によっては、居抜き退去で費用を抑えられます。居抜き退去とは、内装・設備・什器などをそのまま残し、原状回復せずに退去する方法です。原状回復工事を行わずに済むため、大幅なコストカットを実現できます。業者の選定・スケジュール管理などの手間も発生しないので、移転する直前まで営業を続けられるのも魅力です。

物件のオーナーに承諾を得られなければ、居抜き退去できないので注意しましょう。また次の入居者が決まらなかった場合、限られたスケジュールで原状回復工事を手配することになるデメリットもあります。

原状回復工事の範囲をオーナーと交渉する

原状回復工事の範囲をオーナーと交渉することで、工事費用を安くできる可能性があります。たとえば借りている期間が短い場合や、オフィス利用者が少人数のケースでは、部屋の汚れが少ないことも珍しくありません。原状回復工事が本当に必要か、クリーニングで済ませられないか、工事範囲を狭められないか、オーナーと交渉してみましょう。

交渉が失敗することもあるため、覚えておきましょう。

入居時に支払った保証金を工事費用に充てる

原状回復工事の費用を抑えたい場合、入居時に支払った保証金を工事費用に充てられるか確認してください。基本的に保証金は全額返還されるため、工事費用で活用できれば、持ち出すお金を少なく済ませられます。保証金以上に工事費用がかかってしまった場合でも、全額負担するよりも経済的に余裕があるでしょう。

保証金の返還時は、一部しか返還してもらえなかったり、全額返還されなかったりするトラブルが起こる可能性があります。事前に契約内容を確認し、不明点があればオーナーや管理会社に尋ねてください。

ゆとりを持った工事スケジュールで依頼する

ゆとりを持った工事スケジュールで依頼することで、原状回復工事の費用を抑えられることも少なくありません。

テナントによっては工事が許可されている曜日や時間が限られていたり、天候やトラブルが起きたりすると、想定以上に工期が長くなってしまうこともあります。余裕のない工事スケジュールを組んでしまうと、工期が伸びた分、賃料が追加で発生します。余分なコスト発生を防ぐためにも、早めに工事スケジュールを立てましょう。

再見積もりを依頼する

原状回復工事の費用を安くしたい場合、初回の見積もりで依頼を決めず、再見積もりを依頼しましょう。初回に出された見積もりは、現地調査などのリサーチを行っていないことから、基本的に高くなっています。初回から適正価格で見積もりを出す業者もいますが、数は多くありません。

再見積もりにより初回の金額から2〜5割程度安くなることも珍しくないので、高額と感じた場合は再提出を依頼しましょう。

複数の業者の見積もりを取る

複数の業者から見積もりを取る「相見積」を行うと、原状回復工事の費用を抑えられます。1社の見積もりだけでは、金額が妥当か判断するのは難しいでしょう。2社以上の見積もりを比較すると、工事内容や費用が見合っているか確認できます。明確な相場がわかるため、原状回復業社との交渉もスムーズに行えるでしょう。

指定業者がある場合でも、複数の業者の見積もりを取るのがおすすめです。他社の金額がわかっていれば、金額の交渉が成功しやすくなります。

 

原状回復工事の見積もりをチェックするポイント

原状回復工事の見積もりで、チェックすべきポイントを解説します。費用を抑えるためにも、再見積もりや相見積のときは参考にしてください。

賃貸借契約書と同じ工事内容が記載されているか

賃貸借契約書と、見積もりに記載されている工事内容が同じか確認しましょう。

賃貸借契約書を見ると、退去時に行う必要のある原状回復工事内容が明記されています。見積書は賃貸借契約書に基づいて作成されるのが基本ですが、業者によっては「工事一式」「諸経費」など内容を曖昧に記載し、テナントのロビー・トイレといった共用部分など借主が負担する必要のない工事を含めていることも考えられます。

詳細な作業内容を記載してもらい、賃貸借契約書と工事内容に違いがないかチェックしてください。本来は貸主負担の工事内容を借主負担にする旨が特約に記載されていることもあるので、賃貸借契約書は隅々まで確認しましょう。

実際に工事する面積と見積もり記載の面積が同じか

実際に工事する面積と、見積もりに記載されている面積が同じか確認することも大切です。見積書に記載される面積は、図面上の寸法をもとに計算されるケースが少なくありません。実際の寸法と図面による計算がずれてしまうことはよくあるため、賃貸借契約書に記載されている面積をチェックしましょう。

見積書記載の面積が実際よりも大きくなっていれば、工事費用全体が多く見積もられている可能性が高いため、費用の減額を見込めます。

入居時よりグレードの高い資材を使っていないか

入居時よりもグレードの高い資材や設備を導入していないか、チェックしましょう。入居時の状態に戻す原状回復工事では、借りたときよりも品質を高める必要はありません。「時代の流れに合わせて」「以前の資材は廃盤だから」と説明された場合でも、グレードを上げる工事は貸主の負担で行うべきです。

グレードの高い資材・設備が工事内容に含まれていた場合、必要がないと伝えましょう。もし不要と伝えたことで交渉がもつれてしまったら、専門家や法律家に相談してください。

 

原状回復工事を相場価格で依頼できる業者の選び方

原状回復工事を相場通りの適正価格で依頼できる、業者の選び方を解説します。業者選びに迷ったときは、ぜひ参考にしてください。

施工実績の豊富さをチェックする

適正価格で依頼できる原状回復業者を選ぶ際は、施工実績の豊富さをチェックしましょう。担当者の口頭で実績を教えてもらっても、費用・工事内容を詳しく把握できません。実績の少ない原状回復業者だった場合、工事が不十分だったり相場より高額だったりする可能性もあります。

業者の公式Webサイトなどで施工実績を見られるか、豊富な施工実績があるか確認しましょう。施工実績があれば、受注件数・工事のスケジュール感・施工前後の違いが明確にわかります

連絡や対応のスピードを見る

原状回復工事を相場価格で依頼できる業者を探すときは、連絡や見積もり依頼の対応などをスピーディーに行ってくれるか、見ることが大切です。連絡や見積もり対応が早ければ、工事中にトラブルが発生した際も素早く対応してくれる可能性があります。

またスムーズな移転を実現するためには、スピーディーに原状回復工事を行うことが必要です。対応が速やかな業者であれば、工事着手までの対応も迅速でしょう。

見積もりの内容が明確か確認する

見積もりの内容が明確に記載されている業者は、適正価格で原状回復工事を依頼できる可能性が高いです。工事内容が不透明な見積書の場合、不必要な工事があったり価格を水増ししていたりする場合があります。大雑把な項目があれば詳細を聞き、どのように返答するかチェックしてください。

工事が必要な理由や費用の高さについて、論理的かつわかりやすく説明できる業者は適正価格で依頼できるでしょう。

 

原状回復工事で不安があるときは専門家に相談するのもおすすめ

原状回復工事で不安なことがあれば、専門家に相談するのもおすすめです。たとえば工事内容や相場に詳しくない場合、金額交渉の難易度が高いでしょう。事前にコンサルタントへ依頼すると、ある程度の見積もりを把握できるので、値下げ交渉もスムーズに行いやすくなります。

また交渉がうまくいかなくなったとき、専門家がいなければより大きなトラブルに発展することも少なくありません。法律家を始めとする専門家に相談することで、適切な対応を期待できます。相談だけなら無料で引き受けてくれる専門家もいるため、不明点があるときは問い合わせてください。

 

まとめ

原状回復工事の相場は、坪単価3〜50万円と大きな差があります。入居者の利用目的・特殊な内装工事の有無・入居先の立地やグレード・指定業者の有無など、価格が高くなる理由はさまざまです。

居抜き退去や余裕を持った工期スケジュールの設定、再見積もりや相見積の実施など、工夫することで相場より費用を抑えられる可能性があります。見積書を見るときは、賃貸借契約書と照らし合わせたり、利用する資材が入居時と同じかチェックしたりすることも大切です。相場より安く原状回復工事を依頼したい方は、本記事を参考にしてください。

原状回復工事に関するご依頼は「ビルディングデザイン」がおすすめです。ビルディングデザインは多数の原状回復実績があり、大手企業のビルオーナーや管理会社からも依頼を受けているオフィスビル工事のプロ集団です。工事費も安くしっかりしているので指定業者のあるオーナーのビルでも工事を認めてくれる可能性もありますし、一緒に交渉もしてくれます。

またオフィスの移転の工事やデザインもできるので原状回復費用を安く依頼して次のオフィスのデザイン費にしましょう。
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