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オフィスの防音対策を徹底解説。防音が必要な理由から具体的手段まで

企業にとってオフィスは事業の拠点です。そのため、オフィスの環境は最善を求めなければいけません。
しかし、しばしばオフィスの環境はなおざりにされます。企業全体の問題に発展し得るリスクは少なくないのです。
ところで、オフィスの環境を良好にするためには「防音対策」が欠かせません。
というのも、作業環境の維持や機密保持などに大きく関係するからです。
そこで、ここではオフィスの防音対策について、その必要性から具体的手段を解説しましょう。

 

目次

・1.オフィスの防音対策はなぜ必要か

・2.防音の仕組み

・3.オフィスで防音対策をする箇所

・4.オフィスの防音対策の具体的手段

・5.まとめ

 

オフィスの防音対策はなぜ必要か

まずはオフィスの防音対策の必要性について取り上げます。

情報漏洩の阻止

オフィスから音が漏れることは、中での話し声も聞こえるリスクに他なりません。
この事態は企業情報の漏洩に繋がりかねないと言えるのです。
オフィス内の重要な話し合いの内容が、オフィスの外に筒抜けになった場合には、企業の経営にも影響をし得ます。
また、仮にオフィスの外部との防音ができていたとしても、オフィスの内部での防音ができていない場合は、部外秘情報が洩れます。
このような状況では経営管理の上で良くありません。オフィスの防音対策は必要なのです。

プライバシーへの配慮

プライバシーへの配慮は企業においても遵守されるべきでしょう。
オフィスは確かに公的な場所ではありますが、プライバシーがゼロだと、従業員のモチベーションの低下にまで及ぶケースがあります。
例えば、電話の内容などが周囲に筒抜けになるならば、従業員に大きなストレスとなり得ます。
従業員のメンタルの維持は非常に大切です。防音対策は必要なのです。

外部の騒音を抑える

オフィスは従業員の作業環境を良好にするため、基本的には静かであるべきです。
仮に騒音で溢れるならば、従業員の能率も悪くなり、場合によっては業績にも響きます。特に、列車や自動車などの外部からの騒音は大きいため、日常業務に大きく影響するでしょう。
そして、外からの騒音を防ぐためにも防音対策が欠かせません。作業環境維持のためにも防音対策が重要なのです。

従業員が集中できる環境にする

周囲が騒々しいと集中ができなくなります。
文書を読むにしても作成するにしても、集中力が必要です。しかし、騒音が溢れる場所であれば、集中力の維持も難しくなります。作業効率も落ちてしまうでしょう。
しかし、オフィスに防音対策を施すならば、周囲が静かになるため集中力の維持が容易になります。その結果として業務の効率も維持できます。

ハウリング抑制

防音対策はハウリング対策にも有効です。
さて、最近はWEB会議の機会が増えましたが、それと同時にハウリングの問題が浮上しました。
ハウリングとは「やまびこ」のように音声が連続的に響くように聞こえる現象です。スピーカーから発せられた音声をマイクが拾った場合に起こります。
そのため、ハウリングの抑制のためには、スピーカーから発した音声をマイクが拾わないようにしなければいけません。
このとき、内装に防音対策をすればハウリングの低減に役立ちます。音を内装材が吸収するため、マイクが音を拾わなくなるからです。

 

防音の仕組み

オフィスの防音対策を知るためには、音についての知識と防音の仕組みを知っておくべきです。
そこで、ここでは音についての確認と、防音はどのようにして可能となるかを取り上げます。

音について

音には2つの種類があります。「空気音」と「固体音」です。
この内、空気音は空気を振動させながら伝搬するものです。
空気音の良い例が人と人の会話で、口から発せられた声は音となって相手の耳に入ります。これは、口と耳の間の空気が振動して伝わる現象と言えます。
その一方で「固体音」は固体を伝わる音です。例えば、2階で走りまわると下の階に響く場合があります。これは足音が固体音として下の階に伝わる現象です。
尚、空気音と固体音は伝わるものが違うため、対策は別に考えなければいけません。

遮音

遮音は空気音を低減させるのに有効な手段です。
方法としては、音源との間に板などの遮蔽物を置きます。空気を伝わって来た音を遮蔽物で跳ね返し、減衰させるのです。
例えば、換気などのために窓を開けると屋外からの騒音が飛び込んで来ます。しかし、換気が終了して窓を閉めると、外からの騒音が聞こえなくなります。
また、隣の部屋の話し声は、隣の部屋のドアを閉めれば聞こえなくなります。
これは、窓ガラスやドアが飛んできた騒音を跳ね返し、そして減衰させるからです。つまり、遮音の効果が現れたのです。

吸音

吸音は空気音に有効です。
吸音は遮音と違って音を跳ね返しません。音を吸い取って減衰させるイメージです。
さて、吸音素材には表面の形状が複雑に加工してるものや、スポンジ状の素材があります。音は表面に当たった際に乱反射を起こして減衰したり、スポンジの中で乱反射させて減衰したりするのです。
吸音の具体例としては、コンサートホールなどの壁面が挙げられます。コンサートホールの内壁は特殊な形状をしていますが、その形状は音を乱反射させて減衰させます。音を吸い取ることにより反響を抑え、舞台での演奏をクリアにするのです。
尚、空気音は振動としてエネルギーが空気中を伝搬しますが、吸音材にぶつかった音は乱反射を起こし、その反射の段階で熱に変わります。

防振

防振は固体音に対して有効です。
固体音は部材を伝わりますが、伝搬する材料の間に振動を伝えにくい素材を挟むと、振動が途中で減衰されます。そのために固体音は届かなくなるのです。
例えば、前述のように、足音は下の階に響くケースがありますが、これは固体音として足音が伝わる現象です。
そこに緩衝材の入ったOAフロアを設置するならば、フロア材で発生した固体音が緩衝材で減衰し、下の階まで届かなくなります。防振の効果による音の減衰なのです。

制振

制振は音を熱のエネルギーに変えて防音効果を発揮させる手段です。
これはシート状の素材を使うケースが多いのですが、このシート素材は振動を受けると振動を跳ね返さずに、内部で熱に変換させます。音のエネルギーが熱に変われば、熱に変わった分だけ振動が減衰するため音が小さくなるのです。

 

オフィスで防音対策をする箇所

オフィスの防音対策は従業員の作業環境の維持や情報漏洩の阻止などが目的です。
しかし、防音対策は個人レベルに留まらず、企業としても特に重要なケースもあります。
ここでは、オフィスで防音対策が必要な、特に重要な場所を取り上げましょう。

応接室

応接室は来訪者と従業員が直接話をする場所です。そのため、防音対策が特に重要となります。
企業の来訪者はさまざまで、あまり来て欲しくない人も確かにいますが、非常に重要な話を持って来る人も、少なくありません。相手と案件によっては重役クラスが揃わなければいけない場合もあるでしょう。
例えば、企業間の買収の話や株式公開などの話は重役が勢ぞろいする場面であり、秘密の漏洩は許されない場面でもあります。
そして、そんな場面で交わされる会話は外部に漏れては絶対にいけません。適切な防音対策が不可欠なのです。

会議室

会議室も非常に重要な場所です。機密情報の漏洩が許されません。そのため、防音対策が必要となります。
会議室ではチーム単位の小規模の打ち合わせが行われるだけでなく、重役クラスが顔を並べる重要な会議も開かれます。その中には新聞への発表にも気を付けなければいけないトップレベルの会合もあるかも知れません。
会議室はそのような重要な話がされる場所です。防音対策を適切に行い、漏洩リスクに備えなければいけないのです。

社長室

社長室も非常に重要な場所で、適切な防音対策が必要です。
社長は企業の代表者です。来訪者と話す内容は、経営に大きく関係する場合が少なくありません。そのため、機密情報の漏洩には気を付けなければいけないのです。
例えば、株式公開などは企業のトップシークレットであり、社長が大きく関係する案件と言えます。仮に株式公開の情報が外に漏れたならばインサイダー取引のリスクが発生するでしょう。
しかし、防音対策が適切であればそのようなリスクも下がります。トラブルを未然に防げるのです。

WEB会議の機器の周囲

WEB会議の機器の周囲も防音対策が必要な部分です。
この部分の防音対策には2つの目的があります。1つ目がハウリング対策、2つ目が機密漏洩対策です。
1つ目のハウリング対策は、先にも挙げたようにクリアな通信のために必要です。設備の部屋に吸音素材を施工するならば、余計な音を吸い取って良好な通信環境ができます。
2つ目の機密漏洩対策は、WEB会議で議題になった議事内容が外に漏れないようにするためです。時としてWEB会議も重要な議題を審議するケースがあります。そのような会議は外部に知れてはいけません。防音対策を必要とするのです。

 

オフィスの防音対策の具体的手段

ここでは防音対策の具体的手段を挙げましょう。
尚、防音対策は1つの手段に絞るのではなく、複数の手段を組み合わせた方が高い効果が狙えます。
ただ、防音手段の組合せはケースバイケースなため、オフィスの状況から音の伝わりを読み取り、最適な手段を択ばなければいけません。
状況によっては専門家の助力が必要です。

隙間を埋める

ドアなどに隙間がある場合、その部分を埋めると防音効果が高まります。
これは空気音を遮断できるためです。
隙間を埋めれば空間が遮断されるため、空気音が伝搬されません。そのため、隣の部屋に音が漏れないのです。
また、隙間を埋める素材として吸音効果の見込める素材を使えば、更に効果はアップします。
ただ、ドアのような動く部分の隙間を埋める場合には、劣化してボロボロになる場合があります。定期的に交換をするなど、メンテナンスが必要です。

防音パネルの設置

内装材には防音効果を持たせたパネルがあります。内装工事の際に使えば、防音効果の高い空間を作れます。
これは、パネル材の内部にグラスウールなどの吸音効果のある素材を詰めたものです。パネルそのままでも防音効果を持ちます。
コストパフォーマンスが良く、施工が簡単な点が魅力です。

パーテーションの活用

パーテーションには防音効果を高めたタイプがあります。
簡易的な仕切りにはなりますが、防音効果が望めるため便利です。
また、防音パーテーションには工事が不必要なタイプがあり、しかもサイズも豊富にあります。
打合せスペースに使うと良いでしょう。

サウンドマスキング

防音対策のためには、サウンドマスキングの使用も推奨されます。
サウンドマスキングとは会話が交わされる空間に敢えて他の音を流す防音手段です。使われる音は空調音などが挙げられます。工事の規模も大きくはないため、コストを抑えながらの対策が可能です・
ただし、サウンドマスキングは音を無くす訳ではないため、人によっては騒音のように思えるかも知れません。

二重窓にする

窓は外からの騒音を防ぐために重要な部分です。
しかし、オフィスビルによっては窓が古いケースがあり、防音性が十分でない場合があります。
ところで、窓は内側にもサッシの設置が可能です。既存の窓枠に取り付けるため、工事はあまり大掛かりにはなりません。そのため、改装のコストも抑えられます。
今の窓ガラスには防音に特化したタイプがあります。内窓に防音性の高いガラスを使えば、更に良い空間を作れるでしょう。
尚、今の窓ガラスには断熱性を上げたタイプや防犯性に優れたタイプもあります。オフィスの状況に合わせて選びましょう。

防音カーテンの設置

カーテンには防音性を高めたタイプがあります。
タイプとしては遮音性能を高めたものと、吸音の特性を持たせたタイプがあります。
メリットとしては施工に手間が掛からず、しかもコストが少なくて済みます。
ただし、防音カーテンは全部の音に対して効果が高いのではなく、効果が劣る音域があるケースがあります。
オフィスの状況を確認して選びましょう。

 

まとめ

オフィスの防音対策について取り上げました。音の種類から対策まで把握できたと思います。
また、具体的な手段もイメージできたでしょう。
防音対策が最も大きく関係するのは企業秘密の漏洩防止です。特に重要な会合の場合は防音の有無で将来も変わり得るため、自社のオフィスをよく確認して、最適な対策を打ちましょう。

なお、オフィス内装工事に関するご依頼は「ビルディングデザイン」がおすすめです。
オフィスデザイン・設計から施工まで自社ですべての内容を承っているので、個別に業者を依頼するよりもコストを抑えれる可能性もありますし手間も省けます。

さらに、物件選びからサポートをしているため、要望に合ったオフィス空間を提供できます。
「ビルディングデザイン」を利用して、費用を抑えつつ快適な新オフィスをデザインしましょう。
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