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サテライトオフィスとは?メリット・デメリットから注意点まで解説

ビジネスには柔軟性が必要です。
過去に蓄積したノウハウを大切にすることは必要ですが、固執し過ぎると時代遅れになります。企業が時代遅れになったとしたら、業績を落とすだけでなく、従業員に見放されて辞められるかも知れません。
さて、オフィスの在り方も企業にとっては非常に大切です。新たに登場するスタイルは、少なくとも情報を集めて柔軟に判断するべきです。ここで取り上げるサテライトオフィスに関しても、経営する立場からすれば知る必要があるでしょう。
そこで、ここでは「サテライトオフィスとは何か」からはじめて、導入のメリット・デメリット、設置の際の注意点などを解説します。

サテライトオフィスとは

最初にサテライトオフィスとは何かを解説します。

サテライトオフィスとは

サテライトオフィスとは「事業所から離れた位置にあるオフィス」のイメージです。
「サテライト」とは「衛星」の意味ですが、ちょうど事業所を「惑星」と例えて、サテライトオフィスを「衛星」と例えています。
さて、サテライトオフィスに似たものには「支社」や「営業所」がありますが、これらはサテライトオフィスとは異なります。支社や営業所には「組織の機能」を持たせているのに対し、サテライトオフィスは「業務の機能」に絞っている点が特徴です。

サテライトオフィスの種類

サテライトオフィスには3つの種類があります。
それぞれについて解説しましょう。

都市型

都市部に事業拠点があり、同じ都市の離れた地点にオフィスを設けるケースが都市型サテライトオフィスです。
例えば、本社や支社などの拠点が大きな都市の中心部にある場合、その都市の郊外は手薄になり得ます。また、同じ都市にフットワークが要求される重要顧客がある場合などは近い位置に拠点があった方が効率的です。
都市型のサテライトオフィスはこのような場合に設置されるオフィスです。地理的な弱点のカバーや顧客満足度の向上などの効果が狙えます。

郊外型

都市の郊外に設置するサテライトオフィスです。
大きな都市の場合、従業員は郊外に住んでいる場合が多く、通勤には費用も体力も必要です。場合によっては、通勤による疲労が業務にも影響し得るでしょう。
しかし、自宅に近い郊外にサテライトオフィスを設ければ従業員が通勤しやすくなり、効率アップが狙えます。

地方型

都市部に拠点を置く企業が、周辺の地方に置くタイプのサテライトオフィスです
地方に拠点を置くことによって商圏の拡大を狙えたり、地方に事業拠点を置く顧客のニーズに応えられたりします。
また、地方自治体には企業の誘致を推進しているところが少なくありません。サテライトオフィスの設置により、それらの要望に応えて地域活性化に協力できます。尚、地方への進出には行政の補助金が付くケースがあります。

 

サテライトオフィスが登場した背景

次に、サテライトオフィスが登場した背景について解説します。

働き方の多用化

サテライトオフィスが登場した背景には、働き方の多用化の普及が挙げられます。
日本企業における伝統的な就業形態は「朝の9時に始まって夕方の5時に終わる」というものでした。また、勤務地はそれぞれの事業拠点と決まっていました。
しかし、今ではこのスタイルに縛られない働き方が広まっています。例えば、9時に始めて4時に終わる時短勤務などもあるでしょう。また、テレワークのように働く場所を柔軟に変えるケースも見られます。

クラウドの普及

クラウドの普及もサテライトオフィスの普及の背景にありました。
さて、以前からインターネットは日常業務に活用されています。
今でも文書をパソコンで製作し、それを電子メールで載せて他の部門に送付します。また、社内の連絡事項を掲示板に掲示するところも多いことでしょう。
しかし、近年になってクラウドが普及し、遠隔地での就労も可能となり、しかもマルチデバイスの活用も広まりました。
そのため、仕事の場所をあまり選ばなくても可能となったのです。

地域の活性化など

過疎化が待ったなしで進んでしまい、地域の活性化が急務の自治体は少なくありません。地域の活性化のためには企業の誘致が不可欠となります。
そのため、地方に進出する企業に補助金制度を設けるケースも登場しました。
これはサテライトオフィスの設置を検討している企業にとっては、地方進出への追い風です。

サテライトオフィスのメリット

ここではサテライトオフィスのメリットを挙げて解説します。

生産性のアップ

第一に挙げられるのは生産性のアップです。
例えば、都市型のサテライトオフィスであれば手薄の地点をカバーできますし、顧客への訪問も容易になるでしょう。また、移動時間の短縮の効果もあるため、無駄な時間と費用も削減できます。生産性アップは大いに狙えます。

コストの削減

次に挙げられるのはコスト削減です。
サテライトオフィスを設置すれば、通勤や移動のコストが抑えられます。
また、中央に大きなオフィスを持つよりも、地方にサテライトオフィスを持つ方が、賃料のコストダウンが狙えます。

従業員のストレス低減

昔ながらのオフィスにいると意外にストレスを被るものです。
例えば、従業員間で考え方に齟齬がある場合には言い合いになるケースもありますし、トップの機嫌が悪いとオフィス全体がピリピリします。…このようなストレスは本来であれば被る必要はありません。
さて、サテライトオフィスの場合はこのような事態は大きく減少します。そのため、ストレスの低減にも有用なのです。

人材確保に有利

働き方を選べる企業は、旧態依然とした就労規則で動いている企業よりも人気が出やすいです。
そのため、サテライトオフィスを設置する企業も人材確保に有利になります。
前述のように、サテライトオフィスは通勤やストレス負荷を考えるならば、従業員にとってもメリットが大きいです。優秀な人材獲得にも追い風となるのです。

地震や火災などの災害に有利

地震や火災などの災害にもサテライトオフィスは有利です。
大きな地震が発生した場合には帰宅難民になる可能性があります。その点、サテライトオフィスが自宅の近くにあれば、帰宅は容易です。
また、火災の場合には避難の問題が生じます。オフィスビルによっては避難に手間取るケースもあり得るのです。
しかし、サテライトオフィスであれば避難しやすい物件を選べます。

ワークライフバランスにも有益

サテライトオフィスの設置は、従業員のワークライフバランスの実現にも有効です。
ワークライフバランスの充実のためには、自由になる時間と体力的な余裕が欠かせません。時間が取れなければ趣味を楽しめませんし、体力的に余裕が無ければ余暇を楽しめなくなるでしょう。
その点、サテライトオフィスであれば通勤時間の短縮ができますし、ストレス低減にも有効です。その結果として時間と体力に余裕が生まれ、ワークライフバランス実現に繋がるのです。

 

サテライトオフィスのデメリット

次に、サテライトオフィスのデメリットです。

労務管理が難しい

サテライトオフィスはどうしても目が届きにくくなります。
そのため、労務管理が難しいです。
勤務時間や成果物の管理は通信での対応がある程度は可能ですが、業務態度などの管理は簡単ではありません。
また、労働安全衛生管理などの点もサテライトオフィス任せになりやすいです。その結果、就労上の事故が仮にあったとしても、スムーズな対応が困難になるケースも考えられます。

秘密漏洩のリスク

サテライトオフィスは管理者の目が届きにくくなるため、秘密漏洩のリスクも上がります。
例えば、事業所では当たり前に行っていた文書のシュレッダー処理などを面倒に感じるかも知れません。そうすると、一般ゴミと一緒に出す事態もあり得ます。その時に重要な情報が洩れるリスクが生じるのです。
また、システム管理者がいない場合には、デバイスのウィルス感染などにも気を付けなければいけません。ウィルスは様々な形に偽装して送り付けられるため、素人では判別が難しいのです。

コミュニケーションが取りにくい

サテライトオフィスとの通信手段は限られるため、どうしてもコミュニケーションが取りにくくなります。
その結果、命令の伝達が遅くなるケースがあり得ます。
ところで、これは上司との繋がりだけではありません。同僚との繋がりも希薄になり、情報の共有までもが難しくなるのです。
尚、事業所内で交わされる情報交換は業務のみとは限りません。社内の福利厚生や親睦などに関しても、やり取りが行われます。その中には従業員の生活に重要な情報もありますが、コミュニケーション不足により逃すケースがあり得るのです。

作業標準が守られにくい

サテライトオフィスっは作業標準を守られにくいリスクを抱えます。
企業にもよりますが、作業標準が決まっている仕事は少なくありません。例えば、見積書から請求書のルーチンは、基本的には決まっているでしょう。
ところで、これらのルーチンは個人レベルになると破られかねません。「面倒だから」などの理由で勝手なプロセスで仕事を進められる可能性があるのです。そして、これは目の届きにくい場所…サテライトオフィスでリスクが大きくなるのです。

現物を送る場合に不利

サテライトオフィスは物を送る場合には不便です。
業界にもよりますが、業務を現物ベースにしている企業は少なくありません。特に、製造業などでは試作のサンプルをチーム全体で確認する機会は多いです。
その点、サテライトオフィスの場合には遠隔地にもあるため、物を送る場合には不便です。
そのため、運送の時間が必要なため、意思決定が遅れるケースもあり得るのです。

訪問するときに不便

サテライトオフィスは顧客を訪問するときなどは不便です。
特に、郊外にサテライトオフィスを設けた場合には交通アクセスが良くないため、不便な思いをするかも知れません。
ところで、これは誰かに「来てもらう場合」についても同様です。交通アクセスの良くない地区である場合には、呼ぶ場合も大変なのです。

 

サテライトオフィス設置の注意点

サテライトオフィスは規模が小さいため設置は簡単に思えるかも知れません。
しかし、オフィス設置には注意点があります。ここではサテライトオフィス設置の注意点を取り上げます。

費用対効果を見極める

新しい設備を導入する場合には費用対効果を確認しなければいけません。
これはサテライトオフィスの場合も同じです。オフィスを設置した後と設置前の事業所としてのキャッシュフローを確認しておくべきです。
尚、この見極めが甘いと赤字転落にもなりかねません。

情報セキュリティ対策

情報セキュリティ対策も大きな課題です。
ネット経由での情報やコンピューターウィルスなどによる情報漏洩のリスクだけでなく、紙の文書の管理も徹底させるべきでしょう。
紙の文書は書き損じのものを安易に捨てると情報漏洩のリスクに繋がります。書き損じであっても、シュレッダーにかけるまでの管理が必要となるでしょう。

ミーティングなどのルールを決める

サテライトオフィスにいると他の拠点とのミーティングで弊害が生まれるケースがあります。
例えば、スケジュールが従業員の間で合わない場合です。
そのため、ミーティングなどには最初からルールを決めておくべきでしょう。

コミュニケーションを取りやすくする

コミュニケーションを取りやすくする点もポイントです。
チーム内でのチャットツールなどを利用すると、横の繋がりが取り易くなります。
また、雑談もある程度は容認するべきです。雑談の中には貴重な情報が隠れているケースもありますし、ストレス解消に繋がっている場合も少なくないからです。

労務管理の方法を決めておく

これは特に管理者の課題となります。
サテライトオフィスのスタッフの労務管理の標準化によって、仮に管理者が異動になった場合でも、円滑に運営ができるからです。
特にコミュニケーションの問題は注意が必要です。雑談をどれくらいまで容認するか…といった点まで標準的になればベターです。

 

まとめ

サテライトオフィスについて取り上げました。どのようなオフィスであるか、メリット・デメリットには何があるかが把握できたことでしょう。また、自社でサテライトオフィスの設置を検討している方々においては、参考情報となったと思います。
ビジネスには柔軟性が必要ですが、新たなシステム導入には、どうしてもセンシティブになりがちです。しかし、躊躇するならば時代遅れになります。旧態依然の経営体質を変える意味でも、サテライトオフィスの検討も良いでしょう。
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