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オフィスづくりと消防法!最重要の注意点とは


企業は利益を求める集団のため、オフィスも従業員の働きやすい環境でなければいけません。
しかし、利益追求よりも守らなければならない重要なものがあります。それは「従業員の生命」です。
そして、従業員の生命を守るためには防災が何よりも大切です。そのため、防災に関しても知らなければいけません。特に、火災に関しては気を付けるべきでしょう。
そこで、ここではオフィス造りと消防法について解説します。

 

目次

・1.オフィスと消防法

・2.消防法で設置が義務付けられている設備

・3.消防法で定められている他の条件

・4.消防の観点からのオフィス造りの注意点

・5.オフィスにおける普段からの備えについて

・6.まとめ

 

オフィスと消防法


まずはオフィスと消防法について解説しましょう。

消防法とは

消防法は火災の予防や被害を最小限に留めるための法律です。
実際、消防法の第一条を見るならば、法の目的は「火災の予防・警戒・鎮圧により国民の生命、身体、財産を火災から保護する」とされています。
基本的な内容は、消防設備の設置・点検、管理者の設置、避難訓練の実施や届け出などの規定があります。具体例としては、オフィスビルの防火設備の配置や点検などです。

尚、消防法は罰則を伴う法律です。例えば、消防署の命令に従わないまま場合には、罰金や懲役が科せられます。消防法違反が原因で火災が発生し、死傷者が出た場合には最高で1億円の罰金となります。極めて厳しい処罰と言えるでしょう。

オフィス造りには最重要の法律

消防法は従業員の生命に関係するため、オフィス造りには重要な法律の1つです。
さて、オフィス造りに関係する法律はいくつもあります。
良い例が労働安全衛生法です。例えば、従業員の労働安全管理のため、従業員1人あたりのオフィスの空間を規定しています。働いている立場からすれば、最も身近で重要な法律と思えるかも知れません。
しかし、火災は従業員の生命を奪います。消防法は火災の予防を謳っている法律です。オフィス造りには重要な法律の1つなのです。

適切な設備・人員・教育が必要

消防は設備を設置すれば完了…と思われるケースが見られます。しかし、消防をトータルで考えるならば、適切な設備の他にも人員や教育が欠かせません。
実際、訓練・教育がなければ消火器なども使えないことケースは少なくありません。消火器のような一般的に設置されているものでも、使用のためには訓練・教育が不可欠なのです。
尚、後述しますが、消防法では防火管理者の設置や消防訓練が義務付けられています。

 

消防法で設置が義務付けられている設備

消防法では設置が義務付けられている設備があります。
ここでは、必要とされる4種類の設備について解説しましょう。

消火設備

スプリンクラーや消火器などが挙げられます。
消火設備は火災が発生した場合に、実際に消火活動を行う設備です。
スプリンクラーは火災により発生する熱を感知して自動的に散水を始める装置です。また、消火器などは人の操作により消火活動を行います。

尚、スプリンクラーなど装置は定期的な点検が欠かせません。また、消火器の場合には人が操作しなければいけないため、消防訓練が重要となります。積極的に参加して安全意識を高めるべきでしょう。

警報設備

火災報知器や非常ベル、放送設備などです。
火災報知器は初期段階で火災の発生を感知する設備で、放送は従業員に火災発生を連絡します。
機器としては、火災報知器には熱や煙を感知するタイプや漏電などを検知して作動するタイプがあります。自動のタイプがあり、煙や火炎などの感知で警報を鳴らすため、素早くて有用です。

ただ、非常ベルや放送は人が行わなければいけません。
そのため、警報装置の扱いにおいても各人の操作方法の確認が必要ですし、消防訓練も不可欠となるでしょう。

避難設備

避難階段や誘導灯などです。
避難設備には「避難器具」と「誘導灯・標識」があります。
前者が階段や廊下などで逃げられない場合に使われる設備で、後者が避難経路を知らせる設備です。

これらは消防法によって設置が義務付けられていますが、オフィスによってはファニチャー類が邪魔になって見えにくいケースが見られます。
避難設備は誰でも見える位置に設置し、ファニチャー類が遮蔽物にしない配置が必要です。

消防活動用設備

排煙設備や連結送水管などです。
消火活動が困難になり得る地点の消防活動を支援する目的で設置されます。

尚、排煙設備は建築基準法と消防法で規定が異なるため、設置にあたっては注意が必要です。
これは、建築基準法における目的が「避難」であることに対し、消防法における目的が「消火活動を迅速に行うため」であるからです。オフィス設置の際には専門家によく相談するべきでしょう。

 

消防法で定められている他の条件

消防法で定められているのは設備の設置だけではありません。
防火管理者の任命と消防計画の策定も義務化されています。それぞれについて解説しましょう。

防火管理者

防火管理者は消防法で定められた責任者です。
火災による被害の防止の安全対策をまとめて、消防計画の立案が中心的業務となります。
防火管理者には条件と資格が必要です。条件の1つ目は職場の管理的・監督的な立場にある者、2つ目が防火管理に必要な知識・技能を有することです。講習を受ければ取得できます。

また、防火管理者には甲種と乙種があり、甲種と乙種では対象となる建物の規模が違います。甲種は建物の規模の制限がありません。その一方で、乙種は対象となる建物が小規模なものに限定されます。

消防計画

消防計画は火災の予防と被害を抑える計画です。
内容は自衛消防活動の体制に関するものや定期的な訓練のルール化・マニュアル化などです。
これにより、従業員は有事の際にはスムーズに消化や避難が可能となります。

尚、消防計画は地震や台風など、火災以外の災害への対応も準備も含まれます。

 

消防の観点からのオフィス造りの注意点

消防は消防署まかせではいけません。出来ることは限られているにしろ、自衛は必要です。
オフィス造りにおいても可能な対応策はあります。
ここでは、消防の観点からのオフィス造りの注意点を挙げます。

避難経路の確保

まずは避難経路の確保です。
避難経路は従業員の動線を考えるだけでなく、通路の幅なども考えなければいけません。

例えば、通路の幅はデスクとデスクの間隔によって決まりますが、オフィスの広さや従業員数に合わせて通路幅を設定する必要があります。
また、パーテーションやファニチャー類の設置に関しても注意をしなければいけません。避難経路に支障ができないような配置が必要なのです。

パーテーションを設置する場合

パーテーションは間仕切りのための設備です。タイプとしては比較的低いもの、高いもの、そして部屋そのものを仕切るものがあります。
この内、注意が必要なものは部屋そのものを仕切るタイプです。

部屋そのものを仕切る場合には、別の部屋の扱いとなり、火災報知器などの設備の対応が必要となります。仮に、対応が不十分である場合には、中にいる人が煙に巻かれるなど、危険な状態に陥るでしょう。
また、間仕切りにあたっては消防署へ届け出なくてはいけません。仮に届出がない場合には消防法違反となり、相応の罰則を受けなければいけません。

尚、パーテーション選びにおける詳細は、下記コラムをぜひご参照ください。

排煙口について

排煙口は建築基準法と消防法で設置が規定されている設備です。
タイプとしては、天井付近に設置する自然排煙のタイプと、機械で強制的に排煙をするタイプがあります。

さて、排煙口には「部屋の最も遠い地点から30メートル以内に設置する」という規定があります。ですから、オフィスを作る際には、排煙口と部屋の仕切りの位置関係を注意しなければいけません。特に、パーテーションを使って部屋を仕切る場合には注意が必要でしょう。

また、設備についての使用方法も周知させるべきです。有事の際に設備の排煙口の使い方が分からないと、煙にまかれてしまいます。安全に避難するためにも教育が重要となるでしょう。

火災報知器の設置

火災報知器の設置については費用が設置位置と交換が注意点となります。
特に、部屋を仕切ったときには新規の設置が必要です。この時に注意が必要なのは費用の負担です。火災報知器の設置はB工事になる場合が多く、費用負担が企業側となるからです。

また、交換も忘れてはいけません。火災報知器は熱や煙を感知する部分があり、経年劣化するため、定期的な交換が必要なのです。

スプリンクラーの設置

スプリンクラーの設置は建物の階数によって基準が異なります。
設置の基準が厳しくなるのは11階から上の階です。
これは、はしご車が届かず、しかも自力による避難が困難になり得るからです。11階以上のオフィスの場合は設置しなければいけません。

さて、スプリンクラーは「周囲に物を置かない」ことが重要です。
例えば、オフィス家具などを配置する場合にはスプリンクラーとの干渉に注意が必要です。仮に、スプリンクラーの位置とオフィス家具が干渉したならば、火元にまで水が届かないケースがあり得るからです。

内装制限

オフィスの内装はデザイン性が重視されるのですが、防災のため、壁と天井に制限があります。
具体的には、不燃素材や準不燃素材、難燃材を使わなければいけません。
これは、火災の燃え広がりを遅らせるためです。火炎の広がりを遅らせられれば、それだけ避難が容易になります。ですから、オフィスの内装を決める際には、内装業者と十分な打ち合わせが必要です。

尚、内装制限に関しても罰則規定があります。企業イメージにも関わる問題となり得るため、内装制限に注意をしましょう。

燃えにくい内装材について

燃えにくい内装材があります。
例えば、不燃クロスや不燃木材などです。

さて、これらを使用すれば、可能となるデザインのバリエーションが増えます。不燃木材を多用したオフィスは、柔らかくて温かい雰囲気となります。
ただし、これらの素材は一般的な資材よりも高額な場合が多いです。
そのため、燃えにくい内装材の仕様とコストの知識が重要となるでしょう。

消防署への届出

消防署への届け出は必須です。
さて、届出には3つの届出があります。

1つ目は使用開始を届け出る「防火対象使用開始届出書」です。使用開始の7日前までに届け出なければいけません。
2つ目は内装工事に必要な「防火対象物工事計画届出書」です。内装の変更などの際に消防法の違反とならないように、工事着手の7日前までに届け出る必要があります。
3つ目は「防火管理者専任届出書」です。消防計画と共に提出すると良いでしょう。

 

オフィスにおける普段からの備えについて

火災の予防を考えるならば、消防法への準拠だけに留めるべきではなく、普段からの備えが必要です。
ここでは、オフィスにおける普段の備えについて取り上げましょう。

ファニチャー類の配置

ファニチャー類の配置は非常に重要です。特に、パーテーション代わりに使える背の高いタイプは注意が必要となるでしょう。
例えば、スプリンクラーは周囲に物を置いてはいけません。しかし、背の高いファニチャーを設置し、その上に段ボール箱を置いたならば、スプリンクラーの効果は落ちてしまいます。

また、壁面に設置した排煙設備のオペレーターなどを書架が隠してしまうケースもあり得ます。
このように、ファニチャー類の配置を間違えば危険なため、十分に注意をして決めましょう。

消防訓練

消防訓練は消防法で規定されている必須の訓練です。
ただ、消防訓練には内勤であれば参加は可能なのですが、外勤の従業員は参加がなかなか出来ません。

しかし、外勤であってもオフィスにいる時間はあるため、消防に関する訓練は必要です。
外勤の従業員も含めて、可能な限りの多くの従業員が参加できる体制にしましょう。

防災設備に支障がないように

防災設備は報知器や排煙装置だけではありません。
例えば、防火戸や防火シャッターなどもあります。
さて、オフィスにはそれらの設備の支障となり得る物を置いているケースがあります。

例えば、防火戸の周囲に物を置くと、防火戸の動作に支障が発生するため危険です。
オフィスを作る際には、物の置き場を含めて考え、防災設備に支障がないようにしましょう。

 

まとめ

オフィスと消防法について取り上げました。消防法は単なる設備だけの規定ではないことが分かったことと思います。また、消防設備についてイメージできた人もいることでしょう。
いずれにせよ、消防法は人命に直接関係する重要な法律です。
法律の理解をいい加減にするだけではなく、法の趣旨を把握し、それに伴ったオフィス造りが重要です。

尚、消防法も考慮したオフィスデザインに関するご依頼は「ビルディングデザイン」がおすすめです。
オフィスデザイン・設計から施工まで自社ですべての内容を承っているので、個別に業者を依頼するよりもコストを抑えれる可能性もありますし手間も省けます。

さらに、物件選びからサポートをしているため、要望に合ったオフィス空間を提供できます。
「ビルディングデザイン」を利用して、費用を抑えつつ快適な新オフィスをデザインしましょう。
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